12/24 '07/2/14 '07/3/14 '07/3/14 PM8:00 

↑この二人のその後のお話。
リーマンカカイルです!パラレルです!
お嫌いな方はご覧にならないで下さい・・・すんませんm(__)m

 

 

 

 

 

可愛い男(前)

 

 

 

 

 

喧嘩をした。

喧嘩と言っても軽い口喧嘩だ。

自分も言い過ぎたかもしれない、と一晩経って反省もしていたのに。

オレから謝ってもいいかな、なんて思っていたのに。

それなのにっ!

社内で偶然擦れ違った時に無視された。

無視だけならまだ許せたんだよ。だって、人目の多い社内で親しげに喋って、この関係を勘繰られたら困る。

バッチリ目が合って、お互い「あ!」って顔をしたにも関わらず、あっちから目を逸らして、その上ぷいってそっぽ向きやがった!

な・ん・だ・よっ!その態度ーーーっ!!!

ムカつく!もう絶対こっちからは謝らねぇ!

仕事が終わったら家に行こうと思ってたけど、それももう止めだ。

今日は週末だし、同僚誘って飲みに行くことに決めた。

 

 

 

 

 

「ヤバイ・・・終電行っちまった・・・。」

調子に乗って飲み過ぎた。

久し振りの同僚との飲みで盛り上がっちゃって、昼間のムカつく出来事の所為で、時間も忘れて只管飲んだくれてしまった。

財布の中身と相談したら、タクシーで帰るのは無理っぽい。

「あーぁ・・・歩きかぁ。」

家に帰り着くのは何時になることやら。

終電のことを全く考えてなかった自分が恨めしい。

歩き始めながら時間の確認をしようと携帯を開いたら、

「28件!?」

着信有りの文字が浮かび上がった。

しまった!マナーモードの解除を忘れてたから全然気付かなかった。

誰からの着信か予想は出来たから、ビクビクしながら28件の着信履歴を見た。

「うわぁ・・・怒ってんだろうなぁ。」

溜息を吐きながら通話ボタンを押すと、1コールで相手は出た。

はやっ!!!

「もしもし?」

目茶苦茶不機嫌な声が届いて、酔いが一気にザーっと引いた。

うう・・・気まずい・・・。

「あ、あの、携帯マナーモードにしてて、気付かなくて!」

「今何処?」

オレの言い訳なんて聞こうともせずに、不機嫌な声のまま相手は言った。

「その、同僚と飲みに行ってて、今帰りで・・・。」

「何処にいるの?」

駅名を告げると、迎えに行く、と言われて電話は切れた。

動かずに待っていろと言われたから、コンビニで飲み物を買って、それをちびちび口にしながら駅の前でボーっとしていた。

正直迎えに来てくれるのは有り難い。徒歩で帰ったら何時間掛かるか分かったもんじゃないし。

けど、心底会いたくなかった。

さっきの電話の口調からして、車の中では絶対説教されるだろうし、昨日の喧嘩の続きになりかねない。

狭い車の中では逃げ場がないじゃないか。

「はぁ〜・・・憂鬱だ。」

そうこうしている間にカカシさんの車が到着した。

オレは車に乗り込みながら取り合えず携帯のことを謝った。

そのことに関してはオレが悪いと思ったから素直に謝ったのに、カカシさんは返事もしないで車を動かした。

オレの言い訳なんてどうでもいいんだろうか。必死で言い訳して謝っても無言のままだ。

何だよ・・・こんなに謝ってんのに無視かよ。

音楽も流れていない車内は静かなもんで、その重い空気が非常に気まずい。

オレはただただ早く家に着けと願った。

「あ、オレの家こっちなんですけど。」

オレの家と違う方向に車が曲がったので、慌てて声を掛けたら、長い沈黙の後、

「・・・少し話したいから家来て。」

静かな声で短く告げられて、心の中で盛大に溜息を吐いた。

あと数十分もこんな時間が続くと思うと憂鬱で。

でも、行きたくないとは言えなかった。

話したいことって何だろう。

この不機嫌さからして、どんな修羅場が待っているのかと思うと・・・。

窓の外を流れるキレイな景色を眺めながら、気分はどんどん沈んでいく。

逃げ出せるものなら逃げ出したかった。

 

 

 

 

 

家に着いても相変わらずカカシさんは不機嫌なままで、一言も口をきこうとしない。

お茶を入れてくれて、座るように促される。

お茶はソファの前のテーブルに並べて置かれ、カカシさんはその前に座ったけど、オレはテーブルの向かい側に座った。

もちろんお茶は持って移動した。

こんな空気の中で隣に並んで座る気にはなれなくて。

「それで、話って何ですか?」

「・・・イルカはさ、何でオレと付き合ってるの?」

付き合っている理由?

そんなの一つしかないじゃないか。口に出して言わなくても分かるだろうに。

好きだから。

オレはカカシさんを好きで。カカシさんはオレを好きで。

お互い好き同士だから恋人として付き合ってるんじゃないのか?

「イルカはオレのことなんて好きじゃないんでしょ?」

「は?」

そんなことを言われて、オレは呆れてしまった。

好きじゃなかったら男と付き合うなんて面倒なことするか!

どっからそんな考え持って来たんだよ。

呆れた後、ちょっとムカついてしまって。

いかんいかん。このまま話し出すとまた喧嘩になってしまう。

落ち着こうとお茶をちびちび啜っている間にもカカシさんは話し続ける。

「だってイルカに好きって言われたことないし・・・。」

いやいや、言ったことあるし。エレベーターの中で。その日の夜家に行った時も。

・・・あれ?それ以降は記憶がないかも。

カカシさんにはしょっちゅう言われてるけど。

カカシさんがもういいってくらい好き好き言うから、オレから言うことはあんまりないかも。

考え込んでると、カカシさんが情けない声で言った。

「『うっかり好きになった』って、うっかりでもオレを好きになってくれたのってミラクル・・・。」

ミラクル!?この人今ミラクルって言った!ミラクルって何だよ・・・。

思わず笑いそうになったけど、何とか耐えてカカシさんの話を聞く。

「オレはもっともっといっぱい一緒にいたいのに、イルカはそうじゃないみたいだし・・・。」

いやー今でもかなりカカシさんの為に時間割いてる気がするけどなぁ。

「オレは一緒に暮らしたいくらい好きなのに・・・。」

またその話か・・・。

少し前からカカシさんが一緒に暮らそうと言い始めた。

それは嬉しい申し出だったけど、オレもそう出来ればいいなって思ったけど。

同じ会社の人間なんだし、それは良くないって!色色面倒なことになるって!

そう言ってもカカシさんは納得出来ないみたいで。

この関係を守りたいから断っているのに。

これは秘密の恋だから。

周囲に気付かれないように守らないといけないと思うから。

たとえ大っぴらに出来ない関係でも、それでもカカシさんの傍にいたいと思っているのに。

何で分かってくれないんだろう。

そこまで考えて、オレはやっと気が付いた。

思っているだけじゃダメなんだ。考えているだけじゃダメ。

恋人でも声に出して伝えなきゃ分からない。

一から十まで説明しないと理解出来ない。

オレは何もカカシさんに伝えていない。

カカシさんの気持ちをただ受け止めてただけ。

「ねぇ、もう今は好きじゃないんじゃないの?同情で付き合ってくれてるの?」

悲しげな表情で、辛そうにそう言うから、オレは先ず謝った。

「ごめんなさい不安にさせて。オレが全部悪いです。」

この人は、オレに対しては自信が無いんだ。

オレがあまりにも何も言わないから、好かれている自信が無くて。不安になって、一人でぐるぐる考え込んで。

目の前にいる人は凄く男前で仕事も出来て、人生負けなしって感じの余裕のある振る舞いをしているのに。

他所では自信満満な態度で、弱みなんて無いんじゃないかってくらいに見えるのに。

そういやオレに迫った時も最後へたれてたな・・・。

その時のことを思い出して、少し笑ってしまった。

可愛いな・・・。

うん。目茶苦茶可愛い。この男。

「オレ、男相手に可愛いなんて思ったこと一度もありませんけど・・・アンタなら抱けるかも。」

あまりにも予想外のことを言われたからか、カカシさんは目を丸くして固まった。

立ち上がって傍に寄っても、カカシさんは動かない。

「オレはアナタが好きですよ。大好きです。」

隣に腰掛けて、ぎゅっと抱き締めて言った。

オレの気持ちを、オレの考えてることを、一から十まで丁寧に伝えた。

何度も何度も好きだと言って、オレがこの関係をどう考えているのか伝えて。

カカシさんの顔中に沢山キスをした。

そう言えばオレからこんなにキスをするのは初めてかもしれない。

普段はカカシさんからばかり。

「これからは態度を改めます。カカシさんが不安にならないように恋人らしくします。」

そう宣言して、もう一度好きだと伝えたら、カカシさんはふにゃっとだらしなく頬を緩めた。

よし!これでもう大丈夫!

オレは勢い良く立ち上がって、カカシさんを寝室に誘った。

「心がつながったら次は体です。」

ニッコリ笑い掛けてそう言うと、カカシさんは不安そうに少し笑って言った。

「・・・もしかしてオレを抱こうと思ってる?」

あぁ、ほんとに可愛い男だ。

 

 

 

 

 

 →(後)

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次はエロですv
エロ前で分けてみた。
拍手ありがとうございました〜vvv

'08/11/29 葉月