※性的表現有ります。ご注意下さい。
可愛い男(後)
「ちょっとちょっと!待ってよ!・・・本気?」
ベッドに押し倒して上に乗っかってキスしたら、カカシさんは焦った声を出してオレを押し退けようとした。
でも、全然力は入ってない。全力で拒否してる感じではない。
きっとオレに嫌われるのが怖くて、強く出れないんだろうなぁ。
そういや、オレはカカシさんに我が儘を言われたことが無い。
オレが本気で望めば、不本意でもオレに抱かれてくれそうだ。
何だか苛めたくなってしまう。
「さぁ?本気だったらやらせてくれる?」
意地悪く笑って問うと、カカシさんは真剣に悩み始めた。
「イルカがどうしてもって・・・いや、出来ればオレが抱きたい・・・けど、イルカが本気でそうしたいのなら・・・。いや、ちょっと待ってよ。」
オレの意地悪をカカシさんは本気と取って、考え込んでしまった。
その姿が可愛くって。
意地悪を言って、相手が困ってる姿を可愛く思うだなんて、オレってばちょっとサドっ気があるかも。
カカシさん限定だけど。
ぎゅーっと抱き付いてキスをした。
「冗談ですよ。オレ、カカシさんに抱かれるの嫌いじゃないし、最近は後ろも気持ち良くなって来たし。オレは今のままでいいです。」
カカシさんはホッとしたみたいで、ニッコリ微笑みながら体を起こそうとしたから、
「でも、今日はこのままで。オレが全部しますから。」
押し返しながらそう宣言して、カカシさんの服を脱がしにかかった。
「全部って・・・オレは?何もしないの?」
「そう。何もしないでされるがままで。オレが気持ち良くしてあげますから。」
これはお詫びの気持ちもある。
オレの行動の所為でカカシさんを不安にさせてたから。
セックスにしたって、誘うのは今までずっとカカシさんからで、オレはそれを受け入れてただけ。
オレが誘ったことは一度も無い。
カカシさんがやってくれるから全部任せっきりだったし。
だから、今日はオレがカカシさんを気持ち良くさせたい。
勃たせて乗っかってイかせてやる。
服を全部剥いで、裸のカカシさんに跨った。
唇にキスをして、頬から首筋に口付けて。ゆっくりキスの場所を下へ移動していく。
カカシさんがオレに何度もしてくれたやり方を真似て。
性器に触れたら驚くくらい濡れてる。
オレのやり方でカカシさんが感じてくれているのが嬉しい。
「カカシさん気持ち良いですか?」
「触ってんだから分かるでしょ。こんなことされるの初めてだし、凄くドキドキしてる。」
カカシさんは恥ずかしそうに言って、手を自分の心臓に当てる。
「ほんとだ。」
心臓の上に耳を当てたら、普段より鼓動が激しいように思えた。
ついでに傍にあった乳首を舐めた。
暫く舐めてたら固く尖ってきて、上からカカシさんの吐息が聞こえた。
「乳首も気持ち良い?」
「うん。気持ち良い。」
素直な感想が返って来た。
良かった。嫌がられてない。気持ち良くさせられてる。
オレは安心して次へ進めた。
カカシさんの体中にキスをして。
それから、性器を咥えた。
カカシさんがオレにしてくれるみたいに、舐めて、扱いて、吸い上げて。
咥える前から濡れそぼっていたソレは、オレの唾液も一緒になって、更にぐちゃぐちゃになった。
カカシさんのを咥えていただけなのにオレのも膨らんできちゃって。
早くつながりたくて堪らなかった。
早くカカシさんを奥に感じたくて。
こんなに濡れているし、初めてでもないから大丈夫かと思って、後ろは何もせずにカカシさんの上に腰を下ろした。
すんなり入るかなって思ったんだけど、やっぱり女じゃないオレの体じゃ無理があった。
強引に入れてしまおうとしたけど、カカシさんもオレも痛みが酷くて。
「やっぱり少し解さないとダメだよ。」
カカシさんがローションを取り出した。
普段はカカシさんがそれを使ってオレの後ろを解してくれる。
でも、今日はそんなことをさせては意味が無い。
「アンタは何もしないでいいって言ったでしょ?」
ローションを引っ手繰ってふたを開けて中身を手に出して。
勢い良く取ったものの、オレはそこで怯んでしまった。
ローションを指に絡めながら、その先を想像して恥ずかしくなってきて。
だって、自分の尻の穴に指を突っ込んで解すなんて・・・そんな恥ずかしい姿をカカシさんに見せるってことだ。
それ以前に、自分のアソコに指を突っ込むなんて芸当が怖かった。
正直びびってしまった。
「ほら貸して。オレがやってあげるから。」
オレの迷いを察してか、カカシさんが優しい口調でそう言ったから。
決心がついた。
カカシさんによく見えるように大きく足を開いて、オレの顔と表情も見えるように、片手で支えて上体は起こしたままで。
「こんな姿見せるのカカシさんだけなんですからね・・・!」
見てるのはカカシさんだけ。
ベッドの上にはオレとカカシさんだけ。
何時もカカシさんがしてくれることを自分でするだけ。
カカシさんとつながりたいから必要なことをする。
カカシさんが好きだからこんな恥ずかしいことだって出来る。
オレは恐る恐る指を入れた。
中は狭くて熱くて。
カカシさんの喉がゴクリと音を立てたのが聞こえた。
「イ、ルカ・・・無理しないでいいよ?」
遠慮がちに擦れた声で言われて、カッと顔に熱が集まった。
カカシさんは呆れているのかもしれない。
恥ずかしい。恥ずかしかったけど、今更引けない。
「・・・こんなの嫌ですか?こんなオレは嫌?」
「嫌じゃないよ。嫌じゃないけど無理することない。」
「じゃぁ見てて。オレを見てて。カカシさんが好きだから、今日はオレが全部したい、から・・・だから。」
じっと見詰めて言うと、カカシさんは目を逸らさずに小さく頷いた。
カカシさんに見られていると意識すると、恥ずかしくて仕方なかったけど、酷く興奮して前が勝手に濡れる。
目を見て、体を見て、性器を見て。
アレがオレの中に入る時を思って、物欲しげに喉が鳴った。
視線が自分の性器に止まり、オレが唾を飲み込んだことに気付いて、カカシさんは一瞬頬を染めた。
それでも、オレから目を離さずじっと見詰める。
オレを見ているだけだというのに、カカシさんの性器も十分に反応していた。
カカシさんもオレを見て興奮しているのが分かって嬉しかった。
「イルカ、ちゃんと息して。声出していいから。」
そう言われて、オレは唇を噛んで必要以上に呼吸も声も我慢していることに気が付いた。
多分緊張して無意識にそうなったんだろう。
深呼吸したら堰を切ったように声が出た。
「ふ、ぅ・・・あ・・・カカシさん。んっ!は・・・ぁっ。」
「気持ち良い?」
問われて素直に頷いた。
「キスしていい?」
「して・・・して下さい。」
もう気持ち良くてどうしようもなくて、カカシさんに触れて欲しくて。何処でもいいからカカシさんとつながりたくて。
強請ったら直ぐにしてもらえた。
オレの項に手を添えて引き寄せて、深く口付けられた。
舌を絡めて唇を吸って。
唇の端から唾液が溢れて首まで伝う。
「イルカ。イルカ・・・好き。大好き・・・イルカはオレのこと好き?」
「好き・・・カカシさんが好きです。」
キスの合間に睦言を交わす。
カカシさんはキスをしながら性器を摺り寄せて、腰を揺らし始めた。
オレのとカカシさんのが緩く擦れ合って、軽い快感を絶え間なく与えられた。
キスをしながらお互いの性器を擦り合わせて、オレは自分の指で後ろを刺激して。
色んなトコが気持ち良くてどうにかなりそうだった。
はぁはぁと荒い呼吸が頭の中に響いて苦しいくらいだった。
「も、いい・・・カカシさん離れて。」
オレの後ろは十分解れたはず。これ以上我慢出来ない。
カカシさんを座らせて、その上に跨った。
今度はちゃんとカカシさんを受け入れられた。全部飲み込んだ。
オレの体重が掛かって、何時もより深くつながった気がする。
「すっごい・・・気持ち良い。」
キスをされて囁かれて、奥まで貫かれて。その刺激でイってしまいそうに気持ち良かった。
「オレも。凄く気持ち良い。カカシさん・・・もっと気持ち良くなって。」
腰を揺らしたら下から突き上げられて、いやらしい音を立てながらオレの中がカカシさんでいっぱいになる。
「あっ!ん・・・んぅ、カカシさ・・・もっと奥、もっと奥までして・・・。」
もっと奥を突いて欲しくて、腰を振り回したらカカシさんが慌ててオレの肩を抱いて止めた。
思いっきり力を込めて抱き留められる。
「や、何でっ!止めないで・・・!」
「待って。ヤバイ・・・そんなにしたらイっちゃう・・・。」
オレの肩に顔を埋めて、快感を散らそうと目を閉じて必死の様子だ。
「ごめん。だってさっきの刺激が強過ぎて・・・。」
さっきのってのはオレのしたことだろう。
オレだって随分興奮してしまってるから、きっとあっと言う間にイってしまう。
この人は何を我慢しているのか。
「何で我慢するんですか?イっていいのに。」
「・・・せっかく愛し合ってるんだから少しでも長くしたいじゃない。」
その気持ちは分からなくもないが。
夜はまだまだ長いのだ。
「いいからイって。オレもイくから・・・。」
カカシさんの腕を解いて強引に腰を動かした。
ギリギリまで抜いて一気に奥まで入れて。カカシさんのハラに自分の性器を押し付けて。
前も後ろも気持ち良くて蕩けそう。
「ダメ・・・だって!イルカっ!ほんとに・・・!」
「いいから・・・っ!イけっつってんだろ!」
奥にぎゅっと力を入れて扱いてやったら、カカシさんは小さく呻いて弾けた。
オレの中に精液が注ぎ込まれて、奥が熱くなった気がする。
手で前を扱かれて、体の奥にカカシさんを感じながら少し遅れてオレもイった。
「もっとゆっくりしたかったのに・・・。」
暫くして呼吸が落ち着いたカカシさんが恨みがましく言った。
ブツブツ文句を言い続けるから、オレはもう一度押し倒して上に乗っかってやった。
「一回で終わるつもり?明日は寝不足決定ですから・・・覚悟して下さいよ。」
出したばっかりだし暫く無理だろうと時間を掛けていちゃいちゃしてたら、カカシさんは意外と早く復活してしまって。
さっきの仕返しとばかりに意地の悪いことをたっぷりやられてしまった。
イかせてもらえなかったり、お願いしても触ってくれなかったり、恥ずかしいセリフを言わされたり。
もう何度目か分からないくらいの時、カカシさんが後ろからしてみたいと言い出した。
一晩にこんなにするのも初めてだったけど、後ろからしたいと言われたのも初めて。
今まではしたいと思ってても遠慮して言えなかったんだろうなぁ。
これからもっと我が儘を言ってくれたらいい。
オレはカカシさんが望みを口にしてくれたことを嬉しく思いながら、当然受け入れた。
初めての体位は思った以上に気持ちが良かった。
「あぁ・・・もっと・・・!もっと激しくして!」
「これくらい?」
「あ、あぁっ!前、も触って・・・んーっ!」
「いいよ。あぁ・・・凄く濡れてる。」
手の平で全体を揉まれて、先端を指先で弄られて。後ろからは熱い塊で貫かれて。
もうイってしまうってぐらいだったのに、カカシさんは突然動きを止めた。
「ちょっと待って。イルカはそのままじっとしてて。」
そう言われたと思ったら、つながった状態で抱き起こされて、後ろから入れられたまま座る形になった。
これも初めての体位だ。
深く深くつながって、体の奥から前を刺激されてる感じ。
「う、ぁ・・・あーっ!」
あまりの刺激に肌が粟立つ。
「いいよ。好きに動いて。」
後ろから耳元で囁かれて、オレは夢中で腰を振った。
「カカシさん、カカシさ・・・あ、あっ!ぅん!」
怖いくらいに気持ちが良い。気持ち良過ぎて頭がおかしくなりそう。
「ダメ・・・も、ダメ・・・っ!気持ちい・・・。もー出るっ。出ちゃ、ぅあ!」
「ん・・・一緒にイこ?」
カカシさんに後ろから抱き締められ、両方の乳首を同時に弄られて。
前を触られたわけでもないのに、奥の深いトコでカカシさんを感じながらオレはイってしまった。
今までで一番激しい夜だった。
その晩何回やったか覚えてない。
何時に眠ったかも覚えてない。
シャワーも浴びずに何時の間にやら眠っていて、翌日目が覚めたら、シーツは二人分の色んな体液でえらいことになってた。
こんな状態で目覚めることも初めてだったから、カカシさんと顔を合わせるのが何だか妙に照れ臭かった。
それから何日か経ったある日、会社のエレベーターで偶然カカシさんと二人きりになった。
オレが乗っていたとこにカカシさんが乗り込んで来て。
カカシさんは他に誰もいないことが分かると、嬉しそうに笑って、
「ミラクル!」
と言って抱き付こうとした。
またミラクルかよ、とオレは苦笑しながらカカシさんを避けた。
まぁ、広い社内で擦れ違うことすら滅多に無いことだし、エレベーターで二人っきりになるなんてホワイトデーに一度あったきりだから、低い確率なのは確かだ。
「・・・何で逃げるの。二人っきりなんだからいいじゃない!」
「ダーメ!」
キツイ口調で一喝すると、カカシさんは項垂れてしょぼーんとしちゃって。
この人はオレの前ではまるで子供だ。
オレの一言や行動で一喜一憂して。
可愛い愛しいオレの恋人。
目的のフロアに到着して、扉が開く直前、カカシさんの手に軽く触れながら、
「カカシさん好きですよ!」
早口で言い捨ててエレベーターを降りた。
閉まりかけの扉の奥からはカカシさんの弾んだ声が聞こえた。
「ミラ、グ!ゲホっ!」
と思ったら苦しそうな咳が続けて聞こえて来た。
ミラクルと叫ぼうとして咳き込んだらしい。
「ほんっと馬鹿だなぁ。」
遠くなっていく咳の音を聞きながら、笑いを堪えて足を進めた。
あの日から、オレは逢う度必ず一回は好きだと言うことにしてる。
カカシさんが不安にならないように、なるべくオレがカカシさんを好きなことを声に出して伝える。
社内で言ったのは今日が初めて。
オレが好きだって言ったらカカシさんは幸せそうに笑う。
カカシさんはオレにメロメロらしい。
オレも可愛いカカシさんにメロメロ。
馬鹿で可愛いカカシさん。
オレの可愛い男。
おわり
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あーえらい長くなっちゃったー。
拍手ありがとうございました〜!
'08/12/9 葉月