バレンタインデー記念小話。
リーマンカカイルです!パラレルです!
お嫌いな方はご覧にならないで下さいね〜ん(^-^)
クリスマス小話12/24の続きです。
まぁこっちは見てなくても大丈夫・・・かなぁ?f^_^;
ホワイトデー小話とセットでハッピーエンドv
'07/2/14
「どうしたもんかなぁ・・・。」
カカシは寝返りを打ちながら呟いた。
最近はこうして就寝前に考え込むのが習慣になってしまった。
うみのイルカのことだ。
昨年のクリスマスイブに恋に落ちて、早1ヵ月半。
絶対に落としてやる、と意気込んだあの夜。
あれからサッパリ進展していなかった。
いや、全く進展していないという訳ではない。
イルカとの距離は確実に縮んでいる。
恋愛対象としてではなく、友人としてなのだが・・・。
それはそれで嬉しくないと言えば嘘になる。
でも、カカシが望んでいるのはその先。
恋愛対象。恋人だ。
自分の見目形が優れていることは自覚している。
今までこの姿で良い思いを沢山して来た。
ニッコリと優しく笑い掛ければ、頬を染めたり見惚れたり、それなりの反応があったものだ。
男でも女でも。
だけど、イルカは・・・。
どれだけ気のある素振りを見せても通じていないらしく、微笑み掛けても無邪気に笑い返して来るだけ。
絶対落とす意気込んでいたのに、どんどん落ちているのは自分。
カカシはイルカの魅力的な笑顔にまた、骨抜きにされるわけなのだ。
全くそういう対象に見られていない。
カカシが男だから。
そりゃそうだよなぁ、と思う。
つい最近彼女に振られた、如何にもノーマルの人間を落とそうとしているのだ。
並大抵の努力では叶うはずがない。
それでも。
自分が本気になれば、男でも女でも関係ない、と心の何処かで思っていたのに・・・。
クリスマスの出来事を切っ掛けに、今ではすっかり仲の良い飲み友達だ。
互いの家も何度か行き来した。
そのお蔭でイルカの意外な一面も知ることが出来た。
お人好しで生真面目で優しくて、「いいひと」という言葉がぴったりのイルカ。
ひたすら優しいだけの頼りないイメージを持っていたが、実は物凄く男らしくて男気のある人だった。
そして物凄く口が悪かったりする。
営業で苦手だと言ってた人物は誰なのか、少し前に酒の場で聞いてみた。
酒の入ったイルカは「ハゲ」だの「クソジジイ」だのボロカスに言いたい放題。
「あ、こんなこと言ったって内緒ですよ?」
ちょっと慌てて照れ笑いしながらガリガリ頭を掻くイルカが可愛いと思う。
口の悪さは意外だったけど、それすらも愛しく思えるほど好きになっていた。
他所では見せないイルカの姿を見れる自分。
気を許してくれているようで、純粋に嬉しい。
会社での「いいひと」なイルカも、口の悪いイルカも、どんなイルカも好きだと思う。
口が悪くてもイルカはお人好しで優しくて気配り上手で。
やっぱりイルカの隣は居心地が良く、好感が持てる。
もっと色んなイルカを見たい。
そしてイルカにも自分を見てもらって、好きになって欲しい。
まずはイルカの意識改革を始めなければ。
カカシを恋愛対象に見てもらえるように。
自分がイルカを好きでいることに気付いてもらわなければ。
クリスマスが終わって年を越し、次に世間が浮き立つイベント、バレンタインデー。
託けて何とか前進出来ないものか・・・カカシは考えていた。
それでなくても恋人に振られて淋しい独り身のイルカ。
言い寄られてコロっと落ちないわけがない。
だからカカシはその隙を与えない為にマメにイルカに会った。
バレンタイン当日も予約済だ。
2月に入って即行で予約した。
見たい映画があって、14日しか予定が合わないから会社帰りに付き合って欲しい。
一人で行くのは恥ずかしくて、と付け加えてお願いすると、イルカは快く頷いてくれた。
もちろん見たい映画なんてあるわけない。
当日になって映画はドタキャン。
疲れて寝てしまいそうだから家でゆっくりしたいと言うと、イルカは少々ご立腹だったが渋渋家に招いてくれた。
イルカの家に向かう途中、ご機嫌取りに土産を買った。
最近イルカがお気に入りのチョコ。土産という名の本命チョコだ。
オレンジピールの入ったグミをチョコで包んだ小指サイズのチョコ。
小さなチョコで数の割に結構な値段なので、贅沢な気がして気軽に買えない、と以前イルカが言っていた。
別にケチってるんじゃないんですよ、と慌てて付け加える姿が可愛かった。
コンビニであるだけ買ってイルカの家へ行くと、エプロン姿のイルカに出迎えられた。
カカシより先に帰宅して、ご飯の準備をして待っていてくれたらしい。
バレンタインデーにイルカの手料理。
何という幸せ。・・・嬉し過ぎる。
「アンタが急に予定変えるから大変でしたよ・・・。」
ブツブツと文句を並べるイルカにご機嫌を直してもらおうと、慌ててチョコを取り出した。
受け取ったイルカは目をキラキラさせて喜んだ。
「こんなに沢山っ!うわーーーありがとうございます!これ大好きなんです!」
自分に向けられた物ではないけれど、無邪気に口にされた『大好き』という言葉と笑顔にカカシは胸を貫かれる。
可愛すぎてクラクラする。
軽い眩暈を感じながらカカシは食卓へ足を運んだ。
「はい、カカシさん。」
食事が終わると、イルカはいそいそとチョコを取り出した。
一本取り出してカカシに差し出す。
「オレはいいよ。全部食べなよ。それ好きなんでしょ?」
「幸せのお裾分けですよ。ただし一本だけね!」
ニシシと子供みたいな笑顔を浮かべながら、カカシに向かって手を伸ばす。
「・・・アナタのそういうとこいいよね。好きだなぁ。」
自分の好物を他人にも分け与える。
たった一本でも嬉しい。
やっぱりイルカはお人好しだ。
「なーに言ってんですか!照れるじゃないですか。大体カカシさんがくれた物だし!」
照れ隠しにバシバシとカカシの背中を叩くイルカが可愛いと思う。背中は痛いけど。
どうにか好きになってくれないかなーと心で呟いた。
隣に座ってチョコを食べ始めるイルカを見ると、テレビを見ながらチビチビと口に運んでいた。
指先に付いたチョコを咥えて舐める。
カカシの視線に気付いて、指を咥えたまま視線をカカシへ流した。
胸がドクリと脈打つ。
「何見てんですか?もう一本欲しいんですか?」
新しい一本を咥え、ゴソゴソとカカシの為に取り出そうとするイルカの手を止め、顔を近づけた。
「・・・いらない。半分でいいです。」
その時、どうしてそんなことをしてしまったのか・・・。
衝動に駆られて勝手に体が動いた。
顔を近づけて、イルカの咥えるチョコを小さく齧ると、鼻先が触れた。
声を上げてイルカが飛び退く。
「な、にやってんですか!そんなとこから取らなくても新しいのあげますってば!」
怒った様に頬を膨らませて袋ごとカカシに押し付けた。
赤くもならないイルカが憎らしく思えて。
カカシの気持ちに全く気付かないイルカが憎らしくて。
渡されたチョコを咥えて強引に口付けた。
チョコと一緒に舌を捻じ込む。
イルカは驚愕に目を見開き、体を強張らせた。
抵抗しないイルカをいいことに、カカシは更に深く口付ける。
チョコが熱で溶けて、イルカの口の中は矢鱈と甘い。
ぐにゃぐにゃに柔らかくなったグミが口の中を行き来する。
それが喉に落ちてイルカが咽せた。
イルカが咳込んでカカシはハッと我に返った。
苦しそうに咳込み続けるイルカと目が合う。
その瞳に浮かんだのは、怒りと怯え。
「な、何で、こんな・・・。」
イルカはカカシと距離を取ろうともがきながら途切れ途切れに呟く。
何で?
イルカが好きだからに決まってる。
こっちが聞きたい。
何で分からないの。何で気付かないの。
こんなに好きなのに。
こんなことされてもまだ分からないの?
「・・・冗談ですよ。ちょっとしたイタズラです。」
殴られて追い出された。
「帰れ!二度と来んなっ!」
最後に見たイルカの顔は、カカシの好きな笑顔とは程遠い泣き出しそうな表情で。
夜道を重い足取りで歩きながら後悔した。
きちんと謝って想いを伝えれば良かった。
何で冗談なんて言ってしまったんだろう。
カカシは悔やみながら携帯を取り出した。
きっとこれがイルカに送る最後のメールになる。
『イタズラなんかじゃありません。冗談であんなことしない。本当にごめんなさい。』
当然返事など届くはずはなかった。
結局、最後まで好きだとは告げられずに終わってしまった。
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だだだだだだだだ大遅刻のバレンタイン小話ー!
ホワイトデーとセットでハッピーエンドです♪
早いこと妄想してたのにめちゃ時間かかっちゃった・・・やっと出来た〜(@_@)
オレンジピールのチョコは私がはまってるチョコだったりv
ほんと高いんですよねー貧乏性なのでなかなか買えない・・・(笑)。
拍手ありがとうございました〜vvv
'06/3/14 葉月