2006年のカカ誕小話→ 9/15@カカシ A Bイルカ 9/16 AM6:00★ の二人で。

 

 

 

 

 

'07/9/15 KINI

 

 

 

 

 

あれからもう一年だ。

イルカ先生と相思相愛になって一年。

イルカ先生と触り合いっこをした朝から一年。

オレ達は未だ体をつなげていない。一つになれていない。

セックス出来ていないのだ。

 

 

 

 

 

あの朝から三ヶ月後の年末まで、まるで思春期の子供かってくらいの付き合いが続いた。

イルカ先生はオレの顔を見るだけで頬を染め、手なんて握ろうものなら今にも湯気を噴出しそうなくらいに真っ赤になるから。

それが小っ恥ずかしくてオレにまでうつってしまって、緊張感漂うぎくしゃくした毎日を過ごしていた。

週に一回は必ず逢っていたけど、キスもしなかった。

決して嫌な訳ではない。らしい。

オレのことを好きだと気付いた途端、あんなことをしてしまって兎に角恥ずかしい。ということらしい。

そんな照れまくるイルカ先生も可愛いな〜と思って、この人はもうオレのモノなんだからのんびり待とう、とオレは大人な余裕を見せた。

その余裕が悪かったのか・・・。とっととヤっときゃ良かった、と後後激しく後悔するのだ。

 

 

 

 

 

年が明けて、オレに急な長期任務が入った。

期間は多分三ヶ月くらい。

次イルカ先生に逢えるのはきっと暖かくなり始めた頃。

急な出立となったから、玄関先で挨拶しか出来なかった。

「オレが戻ったら、アナタの全部をオレのモノにして良いですか?」

やっぱり顔を真っ赤にするイルカ先生の両手をぎゅっと握り締めて、目を逸らさずに真剣にお願いした。

二人共大人で、真剣な付き合いなんだから、イルカ先生だっていい加減互いの全てを自分のモノにしたいと思っているはず。

イルカ先生はオレを見詰めたまま無言で頷いた。

「お帰りをお待ちしております。ご無事で・・・。」

そう言って、ぎこちないキスまでくれたから。

絶対無事に戻って来る。そう誓って任務に出た。

三ヶ月は掛かるはずの任務をイルカ先生への愛の力で半月も早く完了させ、胸を躍らせ里に戻ったオレに待っていたのは・・・。

今度はイルカ先生の長期任務の知らせだった。

しかもオレが戻った時にはイルカ先生はもう任務に出てしまって後だった。

隣国の新設校への特別講師に招かれたそうで、期間は二ヶ月の予定。

危険な任務ではないことにホッとしながらも、あと二ヶ月も逢えない、という現実にガックリだ。

「元気に帰って来てね。待ってるからね・・・。」

イルカ先生の残したオレ宛の手紙を毎日読んで、一日千秋の思いで只管帰りを待った。

桜の花が咲き始め、季節は春へと動き始めた頃、漸くイルカ先生が戻って来た。

と思ったら、お互い任務だの受付業務だのアカデミーだの忙しくて、二人きりで逢うことすらままならなくて。

二人に焦りが見え始めた。

逢えないからといって、気持ちが変わることはない。

けれどそこは大人の付き合い。肉欲込みの付き合い。

半年を超える付き合いなのだから、それを望むのも当然だろう。

 

 

 

 

 

そうこうしている内に五月に入り、イルカ先生の誕生日を迎えた。

誕生日の夜は二人共どうにか時間を作り、イルカ先生の家でお祝いをした。

普段通りに振舞ってはいるものの、緊張した空気が二人を包む。

イルカ先生の誕生日。年に一回しかないビッグイベント。

一歩進むには格好の機会ではないか。

口に出さずともお互いそう思っていたはず。

イルカ先生は何だかそわそわしているし。

どうやってそういう雰囲気にもって行こうか、と頭を捻らせていると、イルカ先生から動いた。

「今日こそアナタのモノにして下さいっ!」

イルカ先生は緊迫した様子で顔を真っ赤にしながら、普段は見せない激しさでオレに迫った。

気分は盛り上がり、今夜二人はやっと一つに!

寝室へと移動してベッドに押し倒して口付けて。

「カカシ、先生・・・。」

恥ずかしそうに目を伏せるイルカ先生を前に、オレは既に臨戦態勢だ。

いざ!さらば長き禁欲生活!

緊張でどうにも震えの止まらない手でイルカ先生の服を脱がせて裸で抱き合う。

オレもイルカ先生も緊張でガチガチだったから、時間を掛けてゆっくり進めた。

・・・きっとここで時間を掛け過ぎたんだ。

そろそろいいかな、とつながる寸前、覚えのある音が耳に届いた。

オレ宛ての緊急の使い。急な任務が入ったのだろう。

何で今なんだ。よりによってこんな時に・・・間の悪い。

イルカ先生と目を合わせ、のろのろと体を起こしてガックリ肩を落とす。

言葉が何も出なくて、気まずい沈黙が続く。

酷い肩透かしを喰らったもんだ。

二人共ヤル気マンマンで、体はとっくに反応してしまってるというのに。

どうするんだこの熱。

『来年の誕生日プレゼントってことで。』

深い溜息を吐いたら、去年イルカ先生の言った言葉が頭を過ぎった。

「去年イルカ先生があんなこと言ったから・・・言霊になって邪魔してんじゃないの?」

あまりの落胆に、つい恨み言が零れた。

苦笑いと一緒に軽い調子で言ったつもりだったけれど、イルカ先生には冗談には聞こえなかったらしい。

「すみません・・・あの時は冗談のつもりで・・・。」

顔色を無くし、今にも泣きそうな表情で首を垂らせて。

イルカ先生の誕生日なのにこんな顔をさせてしまった。

直後に後悔したけど、もう遅い。オレの女女しい恨み言はイルカ先生の耳に入ってしまった。

イルカ先生は俯いたまま顔も見せてくれなくて。

「ごめん、イルカ先生。ごめん。今のは冗談だから!忘れて、お願い!」

両手で頬を包んで無理矢理顔を上げさせてキスをした。

舌を捻じ込んで激しいキスをした。

ついでに腰を抱き寄せて、オレのと一緒に熱を吐き出させてやる。

去年のオレの誕生日と同じ。また触るだけで終わってしまったけど。

「直ぐに終わらせて帰って来るから。オレのこと待ってて。帰ったら続きさせてくれる?オレのモノになってくれる?」

荒い息の合間に強請るように囁いたら、イルカ先生は体を震わせながら頷いてくれた。

「無事に戻って下さい。オレ、待ってますから。早くアナタのモノにして・・・。」

姿を消す間際に耳に届いたイルカ先生の言葉は震えていた。

泣いていたのかもしれない。

あっという間だから。きっと直ぐにアナタの傍に戻るから―。

 

 

 

 

 

オレは焦る気を無理矢理抑えて任務地へ赴いた。

同盟国で勃発した内戦を鎮める為の作戦。それに写輪眼が必要だったから、オレが呼ばれた。

直ぐに戻ると言ったけれど、状況はそれを許してくれそうになかった。

長く続く待機の言葉に気ばかり焦って。

イルカ先生のことばかりを考えて、イライラと毎日を過ごした。

本格的に暑くなり始めた頃、漸く作戦が決行された。

作戦は順調に進んで、コイツを仕留めれば、全てが終わる。

その最後の最後で。

オレは、しくじった。

これさえ終わればイルカ先生に逢える、と思うと逸る気持ちを抑え切れなくて。

冷静でいたつもりだったけど、やっぱり早く終わらせようという焦りがあった。

集中しきれていなかった。

ヤバい!そう思った時には遅かった。

腹に派手な攻撃を受けて、全身をデカい木に叩きつけられる。

そうでなくても写輪眼の使い過ぎでチャクラ切れの状態な上に深手を負って、オレは昏倒した。

 

 

 

 

 

目覚めて一番に視界に入ったのは、木の葉病院の見慣れた天井。

オレは一ヶ月近く眠っていたようで、八月も半ばに漸く目覚めた。

あんな別れ方をしたから、イルカ先生は見舞いに来てくれるかと正直不安だったけど。

オレが目覚めた知らせを聞いて、イルカ先生は飛んで来てくれた。

手を握り締めて、オレの無事をただただ喜んでくれた。

今にも泣き出しそうな顔に無理矢理笑顔を浮かべて。

この間からこんな表情をさせてばかりだ。

「心配させてごめんね、イルカ先生・・・。」

思うように動かない腕を伸ばしてイルカ先生の頬を撫でると、イルカ先生はオレの上から手を重ねて頬ずりをした。

イルカ先生は少し痩せたかもしれない。

オレが心配させたから・・・。

「・・・ほんとですよ。心配させてっ!」

「うん。ごめんなさい。」

イルカ先生は怒りながら、泣き笑いの表情でオレの目をじっと見る。

「・・・でも、無事に戻ってくれて何よりも嬉しいです。」

体が動かないオレの代わりに、ぎゅっと抱き締めてキスしてくれた。

顔中にキスを何度も何度も。

嬉しくてオレまで泣きそうだった。

「もう少ししたら・・・カカシ先生の誕生日が来ますよ。」

イルカ先生と両思いになった記念すべき日。

再びオレの誕生日がやって来る。

その日に一つになろうと約束した。

誕生日とその翌日。二日間二人で休みを取って温泉に行こうと約束した。

二人で火影様に直談判に行って、それまで休み無しで働くから、と連休を勝ち取って。

そうしてやっとの思いで迎えた誕生日当日。

この二日間の休みの為に、一ヶ月間オレもイルカ先生も任務漬けの毎日だった。

イルカ先生の顔は疲労の色が濃くて、目の下にはクマまで作っちゃって。

それでも、イルカ先生はずっと笑顔だった。

つられてオレも笑顔になる。

二日間は夢のように幸せだった。あっと言う間に過ぎた。

やっとイルカ先生と一つになれた時には、あまりにも嬉しくて、感極まって何時の間にか泣いていた。

「泣かないで下さいよ・・・。」

困ったように微笑んでオレの涙を拭うイルカ先生の瞳もキラキラ濡れて。

「カカシ先生。誕生日おめでとうございます。その、やっと・・・アナタのモノになれて嬉しい、です。」

顔を真っ赤にしながらそんな可愛いことを言われて、嬉しくってまた泣けてしまった。

今日のオレは酷く泣き虫だ。

二人共疲労困憊だったから、たったの一度しか愛し合えなかったけれど。

その一回だけで全てが満たされた。

翌朝一緒に温泉に浸かりながら、

「家に戻ってもいっぱい愛し合いましょうねv」

そう囁いたら、イルカ先生は照れてしまって赤い顔で「ま、また来年の」なんて不吉な言葉を口にしようとしたから。

だから、オレは言い終わる前に慌てて唇を塞いだ。

暫くイルカ先生が喋れなくなるくらい、あつーいキスをして、唇を塞いでやった。

 

 

 

 

 

 おわり

 

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カカシ先生お誕生日おめでとーーー(≧▽≦)
もう9月も終わりかけですが、まだまだお祝い気分で♪
拍手ありがとうございました〜!

'07/9/29 葉月

 

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