↓'06のイルカ先生誕生日小話の一年後の話だったりします。
一応繋いでおきますのでよろしければ〜♪
去年も今年もパラレルでリーマンですのでお嫌いな方はご注意を!
この次の(中)は性的表現出て来るのでご注意下さい。
'07/5/26 (前)
「お誕生日おめでとう!」
5月26日、イルカを迎えに来て開口一番にお祝いの言葉とチケットを渡した。
「これ誕生日プレゼントね。今から行くから支度して。荷物はもう出来てるからね〜!」
イルカには26日と27日空けておいて、とだけお願いして、何をするかは当日まで内緒にしておいた。
驚かせようと思って。その方が喜びも大きいかと思って。
今年のイルカの誕生日は都合良く土曜日で、土日に温泉旅行をプレゼントしようと早い内から決めていた。
奮発して個室に露天風呂の付いた旅館を予約済だ。
去年は何も出来なかったから・・・。
二人きりで二日間温泉に浸かって、いちゃいちゃして、のんびり過ごせたら、と思っていた。
オマケのプレゼントに、翌日に着る服ももう車の中に待機中。
イルカの分と自分の分を、色違いのTシャツを買った。
お揃いだ。気に入ってくれるといいけど。
後はイルカの身一つを乗せて、車でひとっ走り。
2時間もあれば現地に到着するだろう。
イルカの為のお祝いプランの出来上がりだ。
ワクワクして待っていると、イルカは身支度をしながら浮かない表情。
「カカシさん・・・今から行くのって・・・温泉ですか?」
「そうだよ!温泉好きでしょ?オレからのプレゼント。イルカさんは身一つでいいから早く着替えてね!」
イルカの支度を待って、張り切って出発した。
車内では嬉しくて嬉しくて、オレは浮かれっぱなしだった。
去年の散散な誕生日とは正反対の今年のイルカの誕生日。
二日間も同じ時間を過ごせて祝えることが嬉しくて仕方ない。
だから、イルカの様子に気付かなかった。
チェックインを済ませて、部屋に入るなり抱き締めようとすると、遠慮がちに拒否された。
「イルカ・・・?」
俯いたまま顔を上げない。
気分でも悪いのかな。
「どうしたの?気分悪い?」
「あの・・・。温泉は好きだし、カカシさんの気持ちは凄く嬉しいんだけど・・・。」
言い難そうに語尾を弱める。
いつもの笑顔を見せて喜んでくれると思っていたのに、そういえば出発してから一度もイルカの笑顔を見ていない。
目を逸らせたままイルカが口を開いた。
「やっぱり男同士で温泉なんて・・・。受付でも・・・変な目で見られてた・・・。」
「そんなの気にしすぎだって!」
「カカシさんが気にしなさすぎなんですっ!オレ達男同士なんですよ!?普通のカップルとは違うんです!」
キッとオレを睨みながら強く言った。
「もう少し考えて下さいよ!男二人きりで温泉なんておかしいに決まってる!・・・もっと早く、教えてくれてたら・・・。」
イルカは最後まで言わなかったけど、言いたいことは分かった。
『もっと早く知っていたらキャンセル出来たのに。』
オレは男二人きりで温泉なんておかしいとか一度も考えなかった。
ただイルカが好きなことだから。
プレゼントすれば単純に喜んでくれるかと思って。
でも違った。
イルカには世間の目の方が気になるらしい。
要するに、他人から好奇の目で見られるのに耐えられない、ということだろう。
だからずっと浮かない表情をしてたんだ。
オレがはしゃいでたから言い出せなかったんだろう。
「ごめんね。そこまで気が回らなくて・・・そんなに・・・深く考えてなかった・・・。」
正直ショックだった。
イルカに拒否されたこととか、怒られたこととか。
でも、それより、イルカの気持ちを全然分かってなかったことの方が。
イルカのことは何でも理解出来てると思ってたのに。
あ、ヤバイ。泣きそうになってきた・・・。
ダメだ!
今日はイルカの誕生日なんだから、イルカに悲しい顔をさせたままでなんかいられない。
自分の気持ちなんて後回し。イルカに楽しんでもらわなければ。
グッと涙を堪えて笑い掛けた。
「じゃぁ・・・もう来ちゃったし、折角だから温泉楽しんで!料理も楽しみだね!」
そう言って部屋の隅に荷物を置きに離れると、イルカはやっと小さく笑ったけど、表情は強張ったままだ。
漸く笑顔を見れたけど、少し複雑な心境。
・・・イルカのバカ。
風呂は別別に入って、浴衣に着替えてから食事をした。
向かい合って当たり障りの無い会話をしながら料理をつつく。
「温泉気持ち良いですねぇ・・・。」
「そうだね。料理も美味しいね・・・。」
弾まない会話。
お互いのぎこちない気遣いが、痛い。
布団ももちろん別別だ。
おやすみのキスくらい、と思ったけど、それも拒まれた。
「・・・今日はそういうの無しでお願いします・・・。」
そっか。
キス以上のことするつもり無かったけど、したら痕跡残っちゃうからね。
それを避ける為に、なるべく触れてくれるな、ということだろう。
今日になってから手もつないでいない。
イルカの温もりが恋しい。
イルカを思いっきり抱き締めたい。
オレは一人きりの布団の中で、ずっと寝付けずにいた。
イルカの誕生日が終わって数時間。
相変わらず寝付けなかったオレは、静かに布団を抜け出して、露天風呂に浸かっていた。
何でこんなことになったんだろう。
オレはただイルカに喜んで欲しくて。
こんな機会滅多にないから、イルカの好きな温泉で、ゆっくり二人きりで誕生日を祝いたかっただけだったのに。
イルカは喜ぶどころか迷惑だったみたいだし、ずっと気まずいし・・・。
これじゃ去年の誕生日より酷い。
こんなだったらちょっと豪華な食事でお祝いくらいにしておけば良かった。
「最低・・・イルカのこと全然分かってないんだなぁ・・・。」
声に出すとめちゃくちゃ悲しくなった。
いかん、また泣きそうになってきた。
・・・まぁ、いいか。
今は一人だし、風呂の中だし。全部洗い流してくれる。
涙も、一人きりでこんなに寂しい気持ちも。
夜空を見上げながら、少しだけ泣いた。
「・・・カカシさん?」
暫くそうしていると、奥の扉が開いてイルカの声が聞こえた。
オレは慌てて湯の中に全身を潜らせた。
こんな姿絶対に見られたくない。
「カカシさん!」
露天風呂まで顔を覗かせてたイルカが、オレを湯の中から引っ張り上げる。
「どうしたん、・・・・・・泣いてたんですか?」
オレの顔に張り付いた前髪を手で掻き分けて、顔に付いた水滴を拭いながらイルカが言った。
「目が赤い・・・。」
「いやぁ・・・ははは・・・。」
笑うしかなかった。
泣いていたことに気付かれて・・・カッコ悪い。
「ごめん、直ぐ上がるから・・・先戻ってて・・・。」
目を伏せたまま言うと、イルカは浴衣を脱ぎ捨てて湯船に入った。
「ちょっと詰めて。」
「イルカ!?ちょっと・・・!」
驚いて立ち上がろうとしたら、肩を押さえられて湯船の中に戻された。
一緒に風呂なんか入ったら触りたくなっちゃうじゃないか。
「・・・じゃぁ、オレが先に戻るから・・・。」
イルカの方を見ないようにしてそう言ったのに、手が伸びて来て、イルカの腕の中に抱き寄せられた。
ちゃぷちゃぷと音を立てて湯が揺れる。
イラついた。
「・・・何でこんなことするの?オレが我慢してるの分からない?」
折角紳士的に立ち去ろうとしてるのに、何故煽る様な真似をするんだろう。
今日は触るなと言ったのは自分なのに。
「しましょう。カカシさん!ここで!」
「・・・・・・え?」
「ここなら全部洗い流せるし・・・。」
そう言われて遠慮がちにキスされたから、オレもイルカの様子を伺いつつ、ゆっくりとキスを繰り返した。
引き寄せて、抱き合って、舌を絡めて、唇を押し付け合う。
この休みで初めてのキスだ。
「ごめん。カカシさんの気持ち台無しにして・・・。折角お祝いしてくれようとしてたのに・・・。」
泣かせちゃってごめんなさい。
そう言ってイルカはオレの瞼にもキスを落とした。
「いいよ。オレが先に相談してれば良かったことなんだから。・・・それより、本当にいいの?」
「うん。・・・して欲しい・・・。」
イルカが笑顔で頷いたから、それを切っ掛けに、オレはイルカの体に指を這わせた。
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イルカ先生お誕生日おめでとーーー(≧▽≦)
(後)は後日・・・。
次はエロです。それのみです〜きゃっv(笑)
拍手ありがとうございました〜!
'07/5/26 葉月