横顔
カカシ先輩の横顔はとてもキレイだ。
勿論正面から見てもキレイだけど、思い出すのは横顔ばかり。
そりゃそうだ。
普段見るのは横顔ばかりなのだから。
ボクが立つ位置はカカシ先輩の隣か後ろか。
ほとんどその二つなのだから仕方ない。
ずっとカカシ先輩を見ていた。
後ろから。
隣から。
長い間、ずっと追いかけている。
どれだけ恋焦がれていても、カカシ先輩がボクを振り返ってくれることはない。
カカシ先輩は何時も遠くを見ているから。
もうこの世にはいないあの人を想って、ずっと遠くを見ている。
振り向いて欲しくて、名前を呼ぶ。
「・・・カカシ先輩」
「んー?何、テンゾウ?」
「カカシ先輩」
「だから、何って?」
微笑みながらカカシ先輩が振り返った。
クスクス楽しそうに笑いながら、キレイな笑みを浮かべていた。
やっぱりカカシ先輩はキレイだ。
ボクはその笑顔に見惚れて何も言えなかった。
この人のこんな笑顔は初めて見る。
「テンゾウ、お前ずっとオレを見ててくれたろ?」
待たせてごめんな。
そう言ってカカシ先輩はボクの頭を撫でた。
ありがとう、と言われた。
カカシ先輩は優しく微笑みながらボクに触れる。
やっと、横顔じゃない顔を見れたのに。
ボクの目はカカシ先輩の顔をはっきり映さなかった。
それは逆光の所為なのか。
それともボクの目が霞んできた所為なのか。
「男がそう簡単に泣くんじゃないよ」
カカシ先輩の呆れたような声が届く。
どうやら後者のようだった。
カカシ先輩がボクを見てくれた。
遠くを見るのを止めて、近くのボクを見てくれた。
嬉しさのあまりに抱き付いてしまい、調子に乗るなと怒られた。
怒られたけど、そんなことすら幸せで。
カカシ先輩は涙を拭うボクの頭をまた撫でてくれた。
カカシ先輩がボクに向かって笑いかける。
真っ直ぐにボクの目を見てくれる。
これからは横顔じゃなく、真っ直ぐカカシ先輩を見れるんだと思うと、どうしようもなく嬉しかった。
おわり
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初テンカカ、作っててとても楽しゅうございましたv
あと一個あったりします。
でも次のはイルカ先生絡んでてテンゾウが気の毒すぎる感じ・・・。
テンゾウ好きな方はあんま見ない方がいいかもです。
全然OKな方はここからGO!
お粗末様でございました!
'09/12/6 葉月