熱
「カカシ先生寝込んでんだってばよ。」
報告書を提出に来たナルトが言った。
「そっか。教えてくれてありがとな。」
「お見舞い・・・行ってあげろってばよ・・・。」
にっこり笑い、ポン、と頭に手を置いたオレに遠慮がちに言う。
上手く笑えてなかったのだろうか。嫌な空気が伝わったのだろうか。
―気を使わせてしまった・・・。
「今日行くつもりだったんだよ。ありがとな。」
「そっか!先生達が喧嘩してるとオレまで元気なくなるってば!」
「な・・・。」
―な、なな何でオマエが知っているっっ!?
動揺してピクピク引き攣る目元を気にしながら、笑顔で答えた。
「はは・・・心配させて悪かったな。」
「おぅ!絶対今日見舞い行くんだぞ!イルカ先生!」
ブンブン手を振り、元気に駆けて行く元教え子の後姿を見ながら、盛大に溜息をついた。
―アイツに痴話喧嘩の心配までされるようになったのかぁ・・・。オレも歳とったな。はは。・・・・・・はぁ。
ナルトに言われた通り、カカシ先生と喧嘩中だ。
付き合い始めて三ヶ月。初めての喧嘩。
もう一週間以上顔も見てない。
喧嘩の原因はもう忘れてしまうくらい些細なことだった。
オレが素直に「ごめんなさい」の一言を口にしていたら、今頃はカカシ先生の隣で笑っていたはずだ。
意地を張ってしまい、時間が経つにつれ、絡んだ糸をどう解いていいかわからなくなって、今に至る。
寝込んでいることも聞いてはいたが、見舞いに行って背を向けられたら・・・と思い、逡巡していた。
ナルトに釘を刺されたことだし、本当に今日見舞いに行こう。
少し怖いけど勇気を出して。
「カカシ先生?お邪魔しますよ。」
気配はするが、何度呼んでも返事がないので、合鍵で入ることにする。
カカシ先生が寝ているであろう寝室の扉の前に立つ。
深呼吸を一つ。
「カカシ先生。イルカです。お見舞いに来ました。」
トントン、とノックをした後、声をかけながら部屋に入った。
「カカシ先生・・・?」
返事はない。眠っているのだろうか。
傍に寄り、そっと顔を覗き込んだ。
額に手をやり声をかけると、うっすらと目を開き微笑んだ。
「あ〜。イルカ、先生だぁ。」
起き上がろうとするカカシを制止し、枕元に腰を下ろした。
「カカシ先生。具合はいかがですか?」
「あんまり良くないかも・・・あと熱だけなんだけど、なかなか下がんなくて。」
「・・・そうですか。お見舞いに色々持って来たので、後で用意しますね。」
「すみません。」
挨拶が済むと気まずい空気が流れた。
どう切り出そう。
お互い会話の切っ掛けを探している。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「「あの」」
声が重なった。目を合わせて苦笑する。
緊張の糸が緩んだ。
「イルカ先生、こないだはごめんなさい。」
オレが口を開く前に謝られてしまった。
「早く謝りたかったんだけど、イルカ先生怒ってる、って思うと怖くて。そうしてる内に寝込んじゃって・・・。」
「こちらこそ・・・ほんとにごめんなさい。オレも怖かったんです。お見舞いも遅くなってごめんなさい。」
良かった。怖かったのはオレだけじゃなかった。お互い同じ気持ちだったんだ。
「ううん。ありがとう来てくれて。すごく嬉しいです。勇気がいったでしょ?」
こんな時でもカカシ先生は優しい言葉をくれる。
体が辛いはずなのに、オレを気遣ってくれる。
なんて優しい人。
「こういう時に一人じゃないって、すごく幸せなことだね。」
赤い顔をしたカカシ先生は、苦しそうに息を吐いた後、オレの目を見てニッコリ笑った。
―あぁ、もっと早く来てあげれば良かった。一人で心細かったろうに・・・。
なんて素直な可愛い人。
なんて意地っ張りな可愛くないオレ。
突如カカシ先生を愛しく想う気持ちが噴出した。
この人が愛しい。出来るものなら代わってあげたい。熱を取り除いてあげたい。
「ごめんなさい。カカシ先生。オレが意地を張ってたから・・・一人で寂しかったでしょう?」
熱を持ったカカシ先生の手を握り締めながら、そっとキスをした。
「熱、オレにうつして。」
カカシ先生のかさついた唇に何度もキスを落とした。
「は・・・ぁ。」
カカシ先生の吐く息が熱い。
進入した口腔内は酷く熱を持ち、酷く乾いていた。
見舞いに持参したミネラルウォーターを口に含み、口移しで何度も何度も飲ませる。
移しきれず口端から流れ落ちた水を舐め上げた。
嚥下する度上下するカカシ先生の喉仏を横目で見る。
「イ、ルカせんせ・・・。」
いつもと違う擦れた声。いつもと違う吐息。いつもと違う汗の匂い。
カカシ先生の熱がうつった。
熱が思考を狂わせる。
オレの頬に触れたカカシ先生の手は、更に熱を持っていた。
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ぬぉ〜イルカ先生やる気マンマン・・・こんなハズでわ(汗)。
カカイルのはずですが、カカシ先生受くさいかもしれませんです〜。
恥ずかしいのでちょいと切ってみます。
次から性的表現有りますのでご注意下さい〜!
苦手な方は「戻る」で戻ってね。
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