※イルカカですよ。
愛とセックスとバカ暗部(前)
視界の端で何かが落下した。
里へ戻る途中の森の中だ。
イルカは任務帰りだった。
落下地点へ足を進めると、落ちた何かが見えてきた。
暗部だ。
血塗れで横たわっている。
「大丈夫ですか!?」
駆け寄って声を掛ける。
意識を失っているのか、返事は無い。
心臓は動いていた。
呼吸もしていた。
それに安堵して体に触れようとすると、
「放っておいて。」
暗部が声を出した。
「大丈夫ですか!?」
もう一度問う。
「大丈夫じゃないけど放っておいて。」
か細い声だった。
力の入っていない、弱弱しい声。
「止血します。」
「殆ど返り血だから大丈夫だってば。放っておいて。」
また拒絶の言葉が届いたけれど、放っておけるはずがなかった。
同じ里の仲間なのだ。
イルカは黙って体に触れた。
殆ど返り血というのは間違っていない。
だが、腕に大きな傷があり、そこから今も出血が続いている。
兵糧丸と止血剤を取り出し、飲ませようと試みたが、暗部は顔を背けて拒否した。
「要らない。放っておいてよ。」
「うるっさい!黙って飲め!放っておけるはずないだろがっ!」
怒鳴りつけて薬を口に含んだ。
面を少しずらし、水と一緒に口移しで流し込む。
「腕の傷縫います。少し痛みますよ。」
大人しく薬を飲み込んだ暗部に声を掛けると、小さな声で何か言った。
「え?」
「・・・水。もっと頂戴。」
放っておけの一点張りだったのが、水が欲しいと言ったのだ。
イルカは嬉しくなって何度も口移しで飲ませた。
「美味しい・・・。」
「そうでしょう?まだ生きてるんだから、もっと自分を大事にして下さい。」
暗部は小さく頷いたように見えた。
その後、意識を失った暗部の腕の傷を縫い、里の病院まで運んだ。
腕の傷は大したものでは無かったが、チャクラ切れで即入院となった。
あのまま放っておいても死にはしなかったかもしれない。
自分の行動はお節介だったかもしれない。
でも、里の仲間の役に立てたのだと思った。
自分は良いことをしたのだと思うようにした。
それから数日経ったある晩、訪問者があった。
玄関の扉を開けると、見覚えのない男が立っていた。
「こんばんは。オレのこと覚えてる?」
「いえ・・・申し訳ありませんが。」
「えー!冷たいなぁ。」
そう言いながら腕の傷を見せてきた。
あの森で拾った暗部だ。
今日は暗部服じゃないから分からなかった。
「ああ!あの時の!元気になられたのですね。良かった!」
「お蔭様で。上がってもいい?」
「えっと・・・どういったご用件で?」
知らない人間ではなかった。
でも、知り合いと呼べる程ではない。
何の用で来たのか。
自分の家をどうやって知ったのか。
「元気になったからさ。助けてもらった礼に来たの。」
ニッコリと微笑みながら男は言った。
態態家まで訪ねて来た人間を追っ払ってはと思い、戸惑いながらも上げてしまった。
「それで、お加減はいかがですか?・・・ええと、お名前は伺っても?」
暗部の前にお茶を置きながら問い掛けた。
「カカシ。はたけカカシ。もう退院出来たし上上です。その節はありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げられて、やっぱり自分の行動は間違ってなかったのだと嬉しくなった。
「いえいえ、お役に立てて良かったです。」
ずずっと音を立ててお茶を飲んだ後、湯のみを置きながらカカシは言った。
「それでね、今日来たのは相手してもらおっかな〜と思って。」
「相手?何の相手ですか?」
「セックス。」
危なかった。
茶を口に含んでいたら吹き出していただろう。
イルカは絶句した。
「セ・・・!?」
「うん。セックス。」
「・・・は?何でオレ?冗談ですか?」
「冗談言いに態態住所調べて来ません。何でアンタかって、水飲ませてくれた時の唇が気持ち良かったから。」
カカシはもう一口お茶を飲んだ。
「オレ任務帰りに即入院して溜まってんだよね〜。決まった相手もいないし、相手して?」
「相手・・・って。セックスっていうのはそんな簡単に・・・。」
「あーそんな難しく考えないでよ。あの時、放っておいてって言ったのに助けたじゃない?それくらい付き合う義務あんじゃない?」
納得出来ない理屈を捏ねられ、理解しようと考えるが、どうにも頭がカカシの言い分についていけない。
どう返すべきかと考え込んでいると、何時の間にかカカシの顔が隣にあった。
怖ろしく整ったキレイな顔だった。
「そんな深く考えないでさ。ただの性欲処理じゃない。一人じゃ味気ないしさ。」
「セックスっていうのは、愛情が無いと・・・。」
イルカにとっては難しい話だった。
イルカにとってセックスは愛情の確認、愛情を持った相手とする行為であって、処理の為にする行為ではない。
「まぁまぁ。気持ち良いことしてスッキリするだけじゃない。強引に助けたんだから責任取ってよね?」
そう言われてしまうと返事に困る。
確かに拒否されたのに強引に助けたのは自分だ。
その責任を取れと言うなら従うしかないのか。
困惑している内に寝室へと引っ張られ、布団の上に押し倒された。
「あの、やっぱりこういうことは好きな相手と・・・。」
「オレは別にあのまま死んでても構わなかったの。アンタが助けたんだから最後まで面倒見て。」
そんなことを笑顔で言われて、イルカは何も反論出来なかった。
覚悟を決めた。
「オレ、男相手は初めてなんですけど。」
「大丈夫大丈夫。オレ慣れてるから。全部やってあげるから心配しないで。」
そう言った通り、カカシは手馴れたものだった。
自分で後ろを解し、イルカをその気にさせ、上に乗って絶頂へと導いた。
始めは男相手に反応するかと心配していたが、全く問題は無かった。
イルカを受け入れる準備をするカカシの姿を見ているだけで簡単に反応したし、カカシとのセックスは気持ち良かった。
「ねぇ・・・キスしていい?」
上で腰を揺らしながらそう問われ、イルカは自ら口付けた。
「やっぱりアンタの唇は気持ちが良い。」
嬉しそうに笑うカカシにもう一度深く口付け、舌を絡ませながら達した。
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やってしまいました〜イルカカ。
某方からもっと読みたいとお言葉を頂き、調子乗って作ってしまいました(≧▽≦)
次で終わります。多分・・・。
ご覧頂きありがとうございました〜!
'10/3/29 葉月