最終電車 10

 

 

 

 

 

カカシは最初にイルカの頬に触れた。

それから、指先を滑らせて項を撫でる。

イルカは喉を反らせて小さな声を漏らす。

可愛い。

イルカの反応一つ一つがカカシを喜ばせる。

胸が弾んで、カカシは嬉嬉としてイルカに触れた。

「やめて」とイルカが言い終わる前に唇を塞いで、じっくりとイルカの肌の感触を味わう。

イルカの肌は暖かくて、指先から温もりが伝わって、広がる。

ネクタイを緩めて、シャツの中に手を滑り込ませて、手の平全体で胸に触れると、イルカは一段と甘い声を漏らした。

「いやだ」「やめて」なんて言葉で拒否しようとするけれど、それは全て、最後には甘い声に変わる。

カカシは胸から腰へ、腰からイルカの中心へと指先を進めた。

そこは既に大きく膨らんで、布越しにもはっきり分かるくらいに熱を持っていた。

「あ・・・ダメ!はたけさん、やめて・・・!」

ズボンの上から優しく揉んでやると、イルカは嫌がる素振りを見せながらも、甘い吐息を漏らす。

「はっ、ほんとに・・・は、たけさ・・・もう、やめて下さい。オレ、も・・・っ!」

イルカが息を詰めてぎゅっと目を閉じた瞬間、カカシの手の下はじんわりと暖かくなって。

湿った感触が布越しに伝わる。

イルカは下着の中に熱を吐き出した。

「・・・早いね。」

揶揄したつもりはなかったけれど、あっという間にイってしまったイルカが可愛くて、自分がそうさせたのだと思うと何だか嬉しくなって。

クスリと笑いを含んだものになってしまった。

それが耳に届いたイルカは顔を真っ赤にして、次に目を潤ませた。

「す、好きな人に触られたら・・・誰だって!」

小さな声を震わせる。

「何でこんなこと・・・こんなのって・・・!迷惑なのは分かってるんですからハッキリ言ってくれたら・・・っ!」

涙混じりの声でそう絞り出して、顔を両腕で覆って泣き出した。

ソファの上で丸くなって泣きじゃくるイルカの姿に、胸が痛みを訴える。

イルカが泣くと胸が痛んで、酷く苦しい。

体中を切り裂かれるみたいにじくじくと痛み出す。

イルカの笑顔が好きだから。

イルカが好きだから。

好きな人に泣かれると辛くなる。

「ごめん・・・また順番間違えた。あのね、オレもアナタが好きみたい。」

イルカの落とす涙を指先で拭いながら告げた。

イルカは目をまんまるくさせて、口をぽかんと開けて、暫く後に漸く言葉を発した。

「・・・・・・・・・・・・・・・は?・・・へ?何て?」

聞き間違いだと思ったのか、信じられないのか、予想外過ぎたのか。

カカシの言葉は間違い無くイルカの耳に届いたはずなのに、中中自分の置かれる状況を飲み込めない様子でぼんやりしている。

「だから、ね。オレもアナタのことが好きみたい。うみのさんが好き。」

ボケっとこちらを見詰めるイルカの手を取って、カカシは自分の胸に押し付けた。

「ほら、分かる?心臓凄くドキドキしてるの。」

はぁ、とイルカの返事は今一ぱっとしない。

カカシは胸の中で溜息を小さく吐いて、イルカの手を自分の股間へ運んだ。

「こっちもこんなになってるんだけど。」

イルカに触れた所為で、そこは緩く熱を持ち始めて。布の上からでもはっきり分かるはず。

「ね?分かる?」

そう言って微笑み掛けると、イルカは一瞬で顔に血を上らせた。

まるで茹蛸みたいに耳まで真っ赤にして、口をパクパクさせている。

「・・・い、嫌がらせとか、で、あんなことしたんじゃ、・・・ないんですか?」

まだカカシを信じきれていない訝しげな目を向けて問う。

「男相手にあんな嫌がらせしないよ。迷惑だったらはっきり断るし。」

信じて欲しい。

唐突過ぎて驚くなと言う方が無理だけれど。

でも、この胸の高鳴りを。激しく脈打つ心臓の音を。

イルカが傍にいるだけで心弾むカカシの気持ちを。信じて欲しい。

「性急だったね。ごめんね・・・。だって、アナタがあんまり可愛いから。触れたくなっちゃって。止められなかった。」

イルカを腕の中に閉じ込めて、きつく抱き締めて、キスを何度も落として。

「アナタが好き。うみのさんのことが好き。好きなんだよ。」

カカシのことを信じられるように、何度も気持ちを口に出した。

「オレね、この間寝込んでる時にうみのさんの夢見てね。アナタみたいな恋人が欲しいって思ったんだよ?」

そうだ、何故忘れていたんだろう。あの時イルカが恋しくて恋しくて。

この人みたいな恋人が欲しいと確かに思った。

イルカの笑顔をもっと見たいとも思った。

イルカが可愛いとも思った。

もうずっと前からイルカに惹かれていたんだ。

イルカはぼんやりと、どこか夢心地な瞳でカカシを見詰める。

「オレ、アナタと付き合いたい。アナタの恋人になりたい。それと・・・。」

暫く間を置いて、

「もっとアナタに触れたい。良い?嫌ならはっきり言って?」

耳元で囁くと、イルカは真っ赤になったけど、カカシにはっきり分かるように頷いたから。

寝室へ移動しようとイルカの手を取って体を起こした。

「ねぇ。せっかくだから姫ダッコで運んであげよっか?」

「は・・・?」

イルカが呆けている隙に、背中と膝裏に腕を回して一気に抱き上げた。

「ちょっ!わぁーーー!落ち!落ちるっっ!!!」

慌ててカカシの首に抱きつくイルカに向かって、少し引き攣った笑みを浮かべる。

「へ、平気平気!鍛えてるから少しくらい・・・!でも静かにしててくれたら嬉しい、かな・・・。」

さすがに自分とほぼ同等の体格の、しかも男を姫ダッコとなると厳しいものがあったけど。

カカシは意地で足を進めた。

絶対に落とすまい、と思った。

首に腕を絡めて必死でぎゅっと抱き付いて、心配そうにカカシを見詰めるイルカが愛しくて。

絶対落とさずにベッドまで運びきってみせる。

ふらつきながらも根性と意地で寝室まで辿り着いて、ベッドに二人で倒れ込んだ。

二人分の重みを受け、ベッドのスプリングが軋んだ音を立てる。

「ほら・・・!案外平気でしょ?」

「あ、ああ、っぶないじゃないですか!同じ男相手に姫ダッコなんてっ!」

ベッドの上に寝転んだまま、イルカは少し怒って、その後堪えきれなくなったようで吹き出した。

「もうっ!はたけさん、何て無茶なことするんですか!」

怒ったような声でカカシを責めるけれど、声に怒気が無い上に笑いを堪えきれていないから迫力なんてあったもんじゃない。

カカシもイルカの隣に横たわり、暫く二人で腹を抱えて笑った。

一頻り笑ってカカシは落ち着いたけど、イルカは隣で顔をシーツに埋めてまだ肩を震わせている。

いい加減顔を見せて欲しくて、カカシはイルカの髪を撫でながら声を掛けた。

「・・・笑いすぎだよ。そろそろ顔上げて?」

優しく促すとノロノロとイルカは顔を上げたけれど、カカシはその表情を見て息を飲んだ。

イルカは笑いながら涙を流していた。

笑っているけど両目からは涙が次次零れ落ちて、泣いているのか笑っているのか分からない表情でカカシを見詰める。

「な、何で泣いてるの!どうしたの?そんなに怖かった?」

ごめんね、と声を掛けながら頬を撫でてやると、イルカは甘えるようにカカシの手に頬ずりして、すみませんと微笑む。

その笑顔は切ない色を残した酷く悲し気な笑顔で。

それでもイルカは優しく笑うから、カカシはまた胸が鳴るのを感じた。

「夢・・・じゃ、ないんだ。本当にはたけさんが居るんだ・・・。」

そう言って可愛く微笑むイルカを、カカシは音がしそうなくらいにぎゅっと強く抱き締めてやった。

「夢じゃないよ。ここに居るよ。ほら、オレの心臓がドキドキいってるの聞こえるでしょ?」

さっきからずっと、煩いくらいにカカシの心臓はドキドキして、それがずっと鳴り止まなくて。

きっと、こんなに近くにいるイルカにもそのドキドキが届いているはず。

イルカの胸の音はカカシに届いているから。

暫く抱き合った後、漸く涙を止めたイルカは体を起こし、カカシに覆いかぶさって口付けた。

軽いキスを、何度も何度もカカシの唇に落とす。

「好きです。はたけさんが好きなんです。ずっと好きだったんです・・・!」

一向に止む気配のない口付けに、カカシは笑って言った。

「アンタ・・・『嫁に来た』って言ってたのにオレを抱くつもり?」

「そ、それは、前はたけさんが冗談言ってたから笑ってくれるかなって・・・。」

恥ずかしそうに頬を染めるイルカに軽く口付けて、ゆっくり体を回転させて組み敷いた。

「オレはね、アナタを抱きたい。だってうみのさん凄く可愛いだもん。」

オレがしても良い?そう問うと、イルカは恥じらいながら小さく頷くから。

カカシはイルカを抱いてしまうことに決めた。

嫁に来たその夜に、なんて手が早い男と思われるかもしれないけど。

イルカが可愛いから、カカシは止められないと思った。

イルカの感触を味わいながら、ゆっくりと時間を掛けて服を脱がしていく。

「さっき『鍛えてる』って、何か運動でもしてるんですか?」

「あぁ、学生時代に空手をね。結構いいトコまで行ったんだよー。今は筋肉落ちない程度に筋トレしてるだけなんだけどね。」

「へー空手!カッコいいですね。オレも何か運動しようかな。最近お腹の肉が気になって・・・。」

と、悲しそうに腹を撫でるイルカが可笑しくて、カカシは少し笑って、

「今度一緒に筋トレしよっか。手取り足取りやり方教えてあげる。」

と誘うと、イルカは嬉しそうな声で「はいっ!」と元気の良い返事を寄越した。

緊張を解すように他愛無い会話を続けて、二人共下着だけの姿になり、向かい合って抱き合った。

イルカは、暖かくて予想していたより華奢で、少し震えていて。

胸に抱き込むと、どうしようもなく気持ちが昂って、愛しさが体中から溢れ出そうだった。

「あぁ・・・気持ち良い。抱き合っているだけで気持ち良い。」

素直な今の気持ちを口に出したら、イルカはまた涙を浮かべる。

幸せそうな笑顔も一緒に。

「オレも・・・気持ち良いです。」

「良かった。一緒に気持ち良くなろうね。」

それを切っ掛けに、カカシは体を動かした。

沢山のキスを体中に落として、イルカへの想いを囁きながら、イルカに触れる。

イルカが怯えないように、ゆっくりと。

カカシが触れる度にイルカは甘い吐息を漏らしてカカシの恋心を擽った。

ほんの少し前に気持ちに気付いたばかりなのに、怖いくらいにどんどんイルカに惹かれていく。

男と体を重ねるのは生まれて初めての経験だったけれど、イルカに気持ち良くなってもらおうと懸命だった。

同じ性を持つイルカ相手だから、何処をどうすれば良くなるかは分かる。

イルカはカカシの手の中で二度達した。

カカシの手の平も、イルカの腹も、白い精液でぐちゃぐちゃだ。

「こんなに濡らしちゃって・・・。沢山出たね。」

「はたけ、さん・・・。」

イルカが潤んだ瞳で見上げる。

「カカシ。カカシって呼んで?」

そう強請ると、イルカははにかみながら素直に「カカシさん」と呼んだ。

お返しに「イルカ」と呼び捨てにすると、ボンっと一瞬で顔を赤らめる。

「・・・何今更こんなことで照れてるの。これからもっと恥ずかしいことするんだよ?」

まぁ、そんなところも可愛いんだけど、と付け加えて、カカシはイルカの後ろに指を運んだ。

「ここ、使うんだよね。オレも初めてだから・・・上手く出来るかな。」

「オレっ!オレ、頑張りますから!痛くても大丈夫ですからっ!」

カカシがぽろっと不安を漏らすと、イルカは必死な形相でカカシに縋った。

カカシの気持ちを軽くしてくれようとしているのだろうか。何時ものイルカらしくない強い口調だ。

「だから・・・!」

「ありがとう。でも痛い思いはさせたくないから、痛かったら我慢しないで言うんだよ?」

ニッコリ笑い掛けると、イルカはホッとしたようにコクコクと頷く。

カカシはイルカの様子を一瞬も逃すまいと、じっと見詰めながら後ろを解しにかかった。

イルカの精液を指に絡めて、ゆっくりと時間を掛けて少しずつ指を埋めていく。

「力抜いてね。」

イルカは必死で堪えようと、唇を噛み締めて声を押し殺して。

でも、時折漏れるイルカの苦しそうな声と、目尻に浮かぶ涙に、カカシの方が耐えられなくなった。

イルカは頑張ると言ったけれど。

頑張って痛みに堪えようとしているけれど。

あまりに辛そうで、それ以上は見ていられなくなった。

「男相手は初めてで勝手が分からないから・・・続きはまた明日にでもしよう。ね?」

体を離してそう言うと、イルカはガバっと体を起こして、縋るようにカカシの腕を強く握って放さなかった。

それから、離れようとするカカシを強い口調で止めた。

「あの、ほんとに大丈夫ですから・・・!痛みなんて平気ですから!明日なんて嫌ですっ!」

今直ぐ続きをしてくれ、とイルカはカカシに迫る。

イルカの余りの勢いに押されながら、カカシは不思議に思った。

何故こんなにも今日に拘るのか。これから時間はたっぷりあるというのに。

「何で今日に拘るの?明日も明後日も時間はいっぱいあるのに。」

「だって・・・。」

「だって?何?」

イルカは気まずそうに視線を逸らせて小さく続けた。

「だって・・・明日になって、はたけさんの気が変わったりしたら・・・。」

深く俯いてしまって、そこで言葉が途切れた。

「ん?何?最後まで言って。」

「その・・・既成事実があれば簡単に捨てられないかな・・・って。」

イルカは漸く顔を少し上げて、遠慮がちにカカシの様子を伺っている。

カカシが怒っていないか心配なんだろう。

まぁ、失礼な言い草だと思う。

体の関係があれば簡単には捨てられないでしょう、と言われているのだから。

冷静になって考えたら、イルカを好きだと思ったのは一時の気の迷いだと思うかもしれない。

そうなったら当然カカシはイルカとの関係は無かったことにしたい、と思うだろう。

明日になって、カカシの気が変わって、捨てられるかもしれない。

イルカはそんな懸念を抱いているのだ。

イルカが不安なのはよく分かる。

きっと玉砕覚悟で来たんだろう。

それなのに、カカシに受け入れられて、カカシからも愛を告げられたから。

思いも寄らなかった展開に喜びよりも不安の方が大きくて。

それでも、このチャンスに縋りたい程カカシを好きで。

確かなつながりが欲しくて、せめて体のつながりだけでも、と捨てられないように保険の意味も込めて、今夜抱かれたいと望んでいる。

カカシだって急すぎる今の状況に十分戸惑っている。

けれど、この気持ちは、一過性の物ではないことだけは確かだ。

絶対に、一時の気の迷いなんかじゃない。

明日になって冷静に考えても、絶対に、絶対にイルカを好きな気持ちは変わらない。

この想いを信じてもらえないことが少し寂しくはあるけれど、イルカの不安を取り除いてやりたいという気持ちの方が強い。

「あの、はたけさん・・・?ごめんなさい、怒らないで下さい。」

どうしたらイルカの気持ちを軽くしてやれるか、黙り込んで考えを巡らせていると、不安そうなイルカの声に引き戻された。

心配そうにカカシを見詰めるイルカの視線とぶつかって、ただそれだけで胸が鳴る。

夜が明けてもこの胸の高鳴りは静まりそうにないのに。

「・・・情けない。アナタの不安を消す方法が思い付かない。」

イルカを抱き寄せて、思いっきり腕に力を込めた。

「怒ってないよ。気持ち良くさせてあげられない上に不安を消せないのが悔しいだけ。」

困ったなぁ、と呟いたらイルカはホッと肩を下ろして笑顔になった。

「ありがとうございます。真剣に考えてくれて・・・オレ、はたけさんを好きになって良かった。」

「あ、コラ!はたけさんじゃないでしょ!カカシ。ほら、言ってみて?」

「カ、カカシ、さん。」

途端に耳まで真っ赤に染めるイルカが可愛くて、どうにも堪らなくなる。

案外狡猾な人なのに、初心で可愛い人。

「もー可愛いなぁ。男なのにこんなに可愛いなんて反則。」

抑え切れなくなって強く唇を押し付けた。

深い口付けを交わすと再び体が熱くなる。

「今は信じられなくても構わないから。でも、明日からもイルカの隣にはオレが居るよ。絶対に。」

時間を掛けて証明するから。

そう宣言してもう一度口付ける。

「明日はきちんと下調べをして、ちゃんと抱いてあげるからね。」

カカシは頭の中で明日の予定を立てた。

明日も休日出勤の予定だったけれど、午前中で切り上げて、昼からはイルカの為に使おう。

インターネットを使えば、男同士の上手なやり方なんてきっとあっという間に分かるはず。

少しでもイルカの体が楽なように薬なんかも手に入れて、イルカの望むように早く抱いてやりたい。

それはカカシの望みでもあるから。

明日には必ずイルカを抱こう。

カカシはイルカを自分の上に跨らせて腰を引き寄せた。

「今日はこれだけで我慢してね。」

イルカを抱き寄せて、小さくなってしまった性器に手を伸ばした。

少し扱いてやるとそれは力を取り戻して、イルカは気持ち良さそうな甘い息を吐く。

ベッドの上に座って、向かい合う形で抱き合う。

イルカもカカシを手の平で優しく包んで、お互いに触り合った。

イルカの吐く息ははぁはぁと荒くなってきたけれど、声は時折くぐもった物を漏らすだけ。

歯を食いしばって声が漏れるのを我慢しているようだった。

「何で声出さないの?我慢してる?」

カカシはイルカの甘い声をまた聞きたくて、手を止めて訊ねた。

「・・・だって、お隣さんに聞こえる。それに男の声なんて・・・気持ち悪い・・・。」

「もっと声出してよ。この部屋角になってるから隣に聞こえる心配ないし。」

そう言って首筋を強く吸ってやると、イルカは気持ち良さそうに可愛い声を上げた。

リビングでは甘い声を沢山聞かせてくれたのに、今になって気を使うイルカが可笑しかった。

「可愛い声。」

「あ、んんっ。」

弱い首筋を熱心に舐め続けると、イルカは引っ切り無しに甘い声を漏らし始めた。

「気持ち悪いどころかめちゃめちゃ興奮する。ほら、見てよコレ。」

カカシの性器はパンパンに張り詰めて、今にも弾けそうなくらいで、先端からは透明な液が次次と溢れ出ていた。

「もうイっていい?」

耳元で囁くと、イルカは腰を押し付けて来て、カカシの上でいやらしく揺れた。

「あぁ・・・カ、カシさん・・・一緒に・・・んんーっ!」

イルカに誘われて、二人で同時に吐き出した。

 

 

 

 

 

カカシは隣で安らかな寝顔を浮かべる恋人を見ていた。

イルカはあの後、落ちるように眠ってしまったから、体に残った情交の後始末はカカシが全てやった。

その間一度も目覚めることはなく、規則正しい寝息を吐き続けた。

緊張の糸が途切れたのだろう。

悪戯に鼻を抓んでみても、目覚める気配は微塵もない。

軽くキスをすると、イルカの唇には微かに酒の香りが残っていた。

「そういえば・・・あの夜も随分酒くさかったよな〜この人。」

酷く酔っ払ったイルカを連れ帰ったあの夜を思い出して、小さく笑った。

カカシが一番多く見ているイルカは、きっと酒に酔ったイルカだ。

今夜恋人同士になったのだから、これからもっと色んなイルカを見れる。

明日から始まるイルカとの毎日を考えてカカシは微笑んだ。

きっと楽しい毎日が待っているだろうとウキウキする。

沢山デートをして、沢山キスをして、沢山抱き合って。

少しでも早くカカシの気持ちを信じてくれるように、誠心誠意イルカと付き合って行こう。

心で固く誓う。

「おやすみ、イルカ。」

イルカの心地良い体温に包まれて、カカシは眠りについた。

 

 

 

 

 

あの夜、最終電車で拾ったうみのイルカ。

今夜もまた最終電車に乗ってやって来て。

カカシの恋人になって、胸の中で眠っている。

 

 

 

 

 

 

 

 おわり

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これで最終電車は完結ー。
やっと!やっと終わった!!!
えらい長いことやってたなぁ・・・。
最後まで見て下さってありがとうございます!
ちょっとでも楽しんでもらえたなら嬉しいです(^-^)
ありがとうございました〜!

'07/11/15 葉月

 

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