「8、告白(ギャグバージョン)」の内容がちょこっと出て来るのでそっちもご覧頂いた方がよろしいかもしれませぬ。

 

 

 

 

 

19、髪の毛

 

 

 

 

 

最近イルカ先生が外でしか逢ってくれない。

その上、逢ってくれる回数も少ない。

家に押し掛けても絶対上げてくれない。

問い詰めたら「今忙しい時期なんです!もうちょっと待って下さい!」と頭を下げられた。

それからかなりの日数が経つ。

今日もイルカ先生は「もうちょっと!もうちょっと!」の繰り返し。

アンタの「ちょっと」ってどんくらいなんだよ!

外でイチャイチャしたら怒られちゃうし、溜まりまくってるっつーの!

ということで。

ムカついたので忍び込むことにする。

仮にも忍びなので得意中の得意なわけだし〜。

驚かしてやろうと、暗闇の中気配を消して待った。

イルカ先生ってば泥棒と間違えたりして。ぷぷっ。

玄関の方で音がして、イルカ先生が帰って来た。

「たーだいまぁ。」

独り言だ。かーわいい♪

静かに背後に回って手を伸ばす。

「だーれどわぁぁぁっっ!!!」

「だーれだv」と声を掛けて目隠しをしようと思った瞬間、体が宙に舞った。

思いっきり投げ飛ばされて、強か腰をぶつけた。

「ナ、ナイス一本背負い・・・!」

転がったまま、イルカ先生に向かって親指を立てた。

「カ、カカシ先生・・・!?」

イルカ先生が慌てて電気を点けて、顔が見える所まで飛んで来た。

「大丈夫ですか!?何でこんなとこ居るんですかっ!?」

言いながらオレの体を引っ張って起こそうとするけど、オレは腰が痛くて痛くて、情けない叫び声を上げた。

「いでででででっ!!!ちょっと待って!引っ張んないで!」

「アンタ・・・忍なんだから受け身ぐらい・・・。」

「愛しい人の傍だから油断してたんですよっ!」

呆れた様な口調で言われて、思わず怒鳴ってしまった。

それがまた腰に響いて・・・。

動けずにウンウン呻ってると、イルカ先生は笑いながらオレをベッドへと運んでくれた。

「何がしたかったのか知らないですけど、驚かすからですよ。よいしょっと!」

ベッドに下ろされた拍子に、オレの腕がイルカ先生の額宛に引っ掛かって落ちた。

「あれ?イルカ先生前髪切ったの?」

その下から現われたのは、眉毛の上で切られた前髪。

ちょっとガタガタだ。

「・・・う、わあーーーっっ!見られた!見られたぁっ!!!」

そう叫んだ後、イルカ先生は前髪を抑えて「わーん!」と声を上げながら部屋を走って出て行った。

オレは一人ポツンと取り残されて溜息を吐いた。

「はぁ・・・。オレってほんとに愛されてんの?」

イルカ先生が外でしか逢ってくれない理由が分かった。

外だと額宛を外さなくて済むから。

部屋ん中で額宛してたら妙に思われるしね。

切り過ぎた前髪をオレに見られたくなかったんだろう。

あれ?前にもこんなことあったような・・・。何か軽い既視感。

一人寂しく寝転がったまま腰を擦っていると、おずおずとイルカ先生が戻って来た。

扉の向こうに体を隠し、顔を半分出してこちらの様子を伺っている。

額宛はキチンと装着済だ。

その姿が可笑しくて、笑って声を掛けた。

「イルカ先生、こっち来て腰擦ってよ。」

「・・・怒ってない?」

「怒ってないから。」

おいでおいでと何度も手招きしたら、イルカ先生はやっと戻って、優しく腰を擦ってくれた。

「ごめんなさい・・・。」

「分かってるよ。オレに前髪見られたくなかったんでしょ?」

「・・・はい。切りすぎてカッコ悪くなっちゃって・・・。」

「・・・って、アンタそれ伸びるまでどんだけかかると思ってんの!?」

「だって!こんな髪見られたくないって、オレの乙女ごこ」

「はい!アンタ乙女じゃないから!!!」

イルカ先生の言葉を遮ってキッパリ言ってやった。

少し前にも同じ様なことで喧嘩したばかりなのに・・・またか!

一度厳しく言わなければ!!!

「あのねぇ、イルカ先生!前も同じ様なこと言ってたよね?」

イルカ先生の『乙女心』とやらが理解出来なくも無い。

好きな人には自分の良い姿だけを見せたいんだよね?

でも、カッコ悪い姿でも醜い姿でも、好きな人なんだから何でも見たいし見せて欲しい。

飾った上辺だけの姿なんて要らないのに。

オレはイルカ先生になら何でも見せられるのになぁ・・・。

そんな理由で大好きな人から避けられてちゃ・・・悲しくなる。寂しくなる。

愛されてるのか心配になってしまう。

「もうちょっとオレの気持ちも考えて?最近逢う回数も少ないし、オレ寂しくて死んじゃう。」

オレは毎日でも逢いたいのに。

懇懇と諭していると、イルカ先生は頭を垂らして肩をプルプル振るわせ始めた。

怒っているのだろうか。

でも、ちゃんと言っておかないと、また同じ様なことが起こりそうだし・・・。

「ごめんなさいカカシ先生!オレ全然カカシ先生の気持ちなんて考えてなかった・・・!オレってヤツは・・・っ!」

くぅぅ、と呻りながら床に突っ伏して、自分を責め始めた。

あぁ・・・何か妙なスイッチ入っちゃったみたい。

放っておくと朝までやってそうなので、強引にベッドの上に引き摺り上げた。

「イルカ先生。分かってくれたらもういいから・・・。」

後頭部へ手を回し、ぐいっと引き寄せる。

横たわるオレの上に被さる様に、イルカ先生の顔が近付いた。

「ねぇ、キスしてよ。久久なんだからすっごいやつねv」

鼻先を合わせてニッコリ笑うと、イルカ先生も頬を染めて笑った。

随分長いこと外で逢うだけだったから、キスも別れ際に軽いのを『チュ』とする程度。

それすら最後にしたのは何時だったか・・・。

だから、熱いキスを交わすのは、あんまりにも久し振りで。

オレはもちろん、イルカ先生も直ぐにその気になった。

イルカ先生は腰を痛めたオレを気遣って、オレの上に跨り、腰を振った。

その姿は、そりゃぁもう!いやらしくていやらしくて!

オレは我慢出来なくなって、気が付いたらイルカ先生を組み敷いて、アンアン言わせてた。

久し振りに思いっきり愛し合った後は、オレの腕枕の上で高鼾のイルカ先生。

その寝顔は、短くなった前髪の所為で幼く見える。

確かにちょっとガタガタの前髪はカッコ悪いかも。

明日キレイに揃えてあげよう。

その前にイルカ先生には『乙女心』禁止令を出しておかなきゃ!

 

 

 

 

 

  おわり

 

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あぁ〜ワンパターンで申し訳ない・・・!
イルカ先生は数ヶ月前の私だったりします。
美容院で予想以上に前髪切られちゃって・・・(-_-;)
好きな人どころか会社の人とかにも会うの嫌で、極力引きこもった(笑)。

最後までご覧頂きありがとうございました!

'07/5/9 葉月

 

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