七夕記念小話。
リーマンカカイルです〜パラレルです〜♪
お嫌いな方はご覧にならないで下さいねん(^-^)

 

 

 

 

 

 

 

7/7

 

 

 

 

 

今日は朝から雨が降ってる。

天気予報は雨のち曇り。夜には雨も上がるでしょう、って気象予報士は言ってたっけ。

同僚達は早く上がれ〜って話していた。

オレもふんふんって頷いてたけど、実は「どうか夜まで止まないでくれ・・・」なんてコッソリ思ってた。

今日は7月7日。七夕だ。

 

 

 

 

 

同じ部署の人間だけで、7月第一週の金曜にビアガーデンで懇親会。

毎年恒例になりつつある行事だ。

雨が降ったら翌週に日延べになる。夏はやっぱりビアガーデンってことで、居酒屋に変更〜なんてことには毎年ならない。

皆7月の金曜は予定を入れないでいるらしい。ノリのいい連中が集まったものだ。

まぁ、オレもノリのいい連中の一人で、毎年楽しみにしてる恒例行事だったので、今月金曜の予定は真っ白にしてるんだけど。

今年までの出席率は100%。

もちろん今年も参加だと思われてるし、そのつもりだった。

今年は偶然七夕だったけど、七夕って言ってもいい歳した男にゃ〜特に縁の深い物でもなく。

オレも大して気に留めていなかったが、日が経つにつれ状況が変わって来た。

この1ヵ月ほどすれ違いが続いて、恋人に逢えないでいた。

同じ会社の違う部署で働く恋人。会社で顔を合わせることも少ない。

毎日届くメールで、あの人も逢いたがっていることは分かる。

分かってはいるけど、やっぱり長く逢えないと意味もなく不安になるし、何だか物足りないし。

オレも好い加減逢いたい。

あの人の温もりが恋しい。

そんな訳で、オレは一人雨が降り続けばいいと願った。

自分勝手で我が儘は重重承知だ。

でも・・・すまん!オレは愛に生きる!親睦より恋人を取る!

神様仏様織姫様牽牛様!

もうほんとに逢いたいんですっ!

 

 

 

 

 

『親睦会延期になりました。今日逢えますか?』

昼を過ぎても止む気配のない雨に、ビアガーデン行きは延期になった。

オレは携帯を持って席を外し、直ぐ様メールを送った。

今日が延期になれば逢おうという約束だった。予定はまだ変わっていないだろうか?

携帯を閉じた途端に着信の合図。あの人からだ。

「イルカさん?お疲れ様!今日逢えるの?すっごく嬉しい!仕事早く終わらせるから!」

喜びを隠そうともしない弾んだ声が耳に響いた。あぁ、なんて可愛い人。

自然と口元がほころぶ。

「お疲れ様です。カカシさん、今外ですか?」

零れる笑みを抑えきれないまま少し話し、夜の約束をして電話を切った。

 

 

 

 

 

仕事帰りに落ち合って、二人でカカシさんの家に向かう。

予報では夜には止むはずだった雨が、帰りには強い雨に変わって、少し歩いただけなのに酷く濡れてしまった。

「・・・濡れちゃいましたね〜。先に風呂入りましょうか。」

傘を畳みながらオレが言うと、

「うん。その前にキスさせて。」

カカシさんがオレの体を引き寄せてキスをした。

玄関先で深くて熱いキスをした。

「逢いたかった」と何度も囁かれ、嬉しくてクラクラする。

オレも逢いたかった。すごく。ものすごく。

そう伝えるとカカシさんは嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 

風呂から上がると雨は止んでいた。一番酷い時に帰って来たようだ。

「雨止んだみたいですね!天の二人も逢えそうですかね〜。」

ビール片手にテレビを見ているカカシさんの前を通りすぎ、外の様子を伺いに窓に近付いた。

カカシさんもオレの後に続き、二人で空を見上げた。

「曇ってるけど雨は止んだし、きっとこれからラブラブですよ。オレ達みたいにね。」

チュっと頬に軽くキスされた。

「そっかぁ・・・。そうだ!カカシさん、お祈りしましょう。ほら、ビール置いて。」

「お祈り?」

「七夕と言えば短冊に願い事ですよ。短冊はないから星にお願いしましょ。一緒に。ね?」

「よしよし。ほんとにイルカさんは可愛いねぇ。じゃ、一緒にお願いしよっか。」

そう言って、カカシさんはオレの頭をポンポンと叩いた。

カカシさんはよくオレの頭をポンポンとする。子供を相手にするように。

いつも子供扱いされてるようで恥ずかしいんだけど、カカシさんの大きな手で触れられるのが好きなオレは、心の中でコッソリ喜んでたりもする。

二人並んで空を見上げる。目を閉じて星に願う。

―もっともっとカカシさんと同じ時間を過ごせますように。ずっとカカシさんと一緒にいれますように。

あ、せっかくの七夕なのに雨止むな、なんて願ってごめんなさい。逢わせてくれてありがとうございます。会社の皆も楽しみにしてたのにごめんな。

自分が原因な訳じゃないけど、自分勝手な気持ちが後ろめたくて、一応詫びも入れてみたり・・・。

頬に温もりを感じて目を開くと、すぐ傍でこちらを見つめるカカシさんと目が合った。

オレの頬を撫でながらカカシさんが言う。

「イルカ。オレ星にじゃなくて、イルカにお願いがあるんだけど・・・。」

ドキリと心臓が音を立てた。顔に血液が集まるのが分かる。

呼び捨てにされたのは初めてだ。

「カカシさん、名前・・・。」

「あぁ。それもあるんだけど、呼び捨てで呼んでもいい?ずっと『イルカ』って呼びたかったんだ。」

カカシさんは何とも言えない表情でオレの頬を撫で続ける。

愛されてる。すごくそう感じた。

きっとカカシさんを見るオレの表情もこんなだろう。

何て言うか・・・愛しくて、大切に思ってて、傍にいるだけで幸せで、好きって気持ちが溢れそうな、優しい表情。

あぁ、オレは幸せだ。

「もちろん。お好きに呼んで下さい。慣れないからちょっと照れますね・・・。」

へへっと笑うと、カカシさんも笑った。

「ありがとう。あとね・・・、もし・・・もしも良かったら、一緒に暮らしませんか?」

「・・・・・・・え?」

「ダメ・・・?」

「や、ダメ・・・じゃなくて。えっと、ちょっとびっくりして・・・。」

「この1ヵ月くらいゆっくり逢えなかったでしょ?その間に『一緒に生活してたら毎日逢えるのに』って何回も思って・・・。お願い、イルカと一緒に暮らしたい。」

「あの・・・オレね、さっき『もっとカカシさんと同じ時間を過ごしたい』ってお願いしたんですよ。・・・もう叶っちゃった。」

思いも寄らぬ申し出に、もう飛び上がりそうなくらい、それはもう嬉しくて嬉しくて。

「どうしよう・・・幸せすぎます。嬉しい!」

「ほんと?オレもすごく嬉しい。ありがとう、イルカ!」

「こちらこそ。ほんとにありがとうございます。」

「あ、あとそろそろ敬語もなくなったら嬉しいな〜。『カカシ』って呼び捨てにしてくれたらもっと嬉しい。」

「え・・・っと、そ、それはオレのが年下だし・・・恥ずかしいっていうか・・・その・・・。」

オレが返事に困ってモジモジしてると、カカシさんは苦笑いを浮かべた。

「ちぇ。まぁ今日のところはいいや。お星様にお願いしとくから。」

カカシさんが口を尖らせながら空に向かって目を閉じたので、オレも倣って隣に並ぶ。

 

 

 

 

 

久々に逢えて喜んでいたら、呼び捨てにされて驚いて。一緒に暮らそうとお願いされて嬉しくて。この上なく幸せで。

自分だけ幸せで悪いな〜と思ったから、今度は皆の幸せを願っておいた。

織姫も牽牛も幸せな時間を過ごせてますように。

会社の皆も幸せでありますように。

・・・もし余裕があったらオレとカカシさんのこれからの生活がうまくいくようにもお願いします。

図図しいなぁオレ、と思いながら、もう一つ願い事を追加しておいた。

 

 

 

 

 

 おわり

 

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拍手ありがとうございました〜vvv

七夕ネタやのに当日に間に合わんかった〜〜〜わぁん(T-T)
やっと出来た〜なんかえっらい時間かかっちゃって・・・。
イルカ先生誕生日記念に続き、またもリーマン物をv
リーマン好きやわ〜v
最後までご覧頂き、ありがとうございました!

'06/7/9 葉月

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七夕記念にリーマンカカイルv
当日に間に合わなかったのが無念・・・くぅ。
ご覧下さった皆様ほんとにありがとうございました〜(^-^)

'06/7/26 葉月

 

 

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