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<カカシとイルカ>
「ただいま!遅くなってごめんなさい!」
扉を開くと愛しい人の声が飛んで来た。
その姿はずぶ濡れで、いつもは元気な髪もくったり下を向いている。
「わ!ずぶ濡れじゃないですか!バスタオルじゃないと・・・ぅわっ!」
用意していたタオルでは間に合わない、と踵を返そうとしたイルカの手をカカシが掴み、少し強引に引き戻した。
「待って!そんなの後でいいから聞いて!もう時間がないから!」
カカシは腕時計を一瞥した。
自分の両手にイルカの手を乗せ、軽く握る。
「イルカさん!誕生日おめでとう!遅くなってごめんなさい!今日は一緒に過ごせなくてごめんなさい!」
手も冷たいね・・・ごめんね、と言うカカシの手を、イルカはぎゅっと握った。
そんなイルカを見て、カカシはにっこり微笑んだ。
呼吸を整え、再び口を開く。
「今年は恋人らしい誕生日を送れなかったけど、来年はきっと楽しくてラブラブで忘れられない誕生日をプレゼントするからね。」
「来年も再来年もその先も、ずっとずっと、あなたの生まれた日を、あなたの傍でお祝いさせてね。」
「イルカさん大好き。あなたを何よりも大切に思ってます。愛してます。お誕生日おめでとう。」
カカシが言い終わると同時に、腕時計の針は0分を指した。
「ふぅ〜良かった!間に合った〜!」
「カカシさん・・・。それを言う為だけにこんなずぶ濡れに・・・?」
「え?あ、うん。そうですよ。今日が終わらない内に逢いたかったから。」
「来年も再来年もあるのに・・・。」
「だって、今年の誕生日は一生に一度しかないから・・・。あ、ごめんね、こんなずぶ濡れで来て迷惑だね。もう帰るね。」
「あ!違います!迷惑なんかじゃないです!ただ、オレなんかの為に・・・カカシさん疲れてるでしょう?もっと自分を大事にして欲しいと思って・・・。」
イルカはそっとカカシの胸に頭を預けた。
「まだ夜は寒いのに風邪ひいちゃうじゃないですか。」
呟きながらカカシの背中に腕を回した。
「イルカさん、濡れちゃう。」
「抱き締めてくれないんですか?言葉だけ?」
体を引こうとするカカシをイルカは強い力で引き止める。
カカシは躊躇しながらも、イルカをそっと抱き締めた。
「ありがとう、カカシさん。オレも大好きです。ずっと傍に置いて下さいね。」
「か、可愛い〜〜〜嬉しい!疲れなんて吹っ飛んじゃう!もう一回言って?」
頬を染め俯くイルカの顔を両手で包み、カカシは嬉しそうに言った。
「は、恥ずかしいじゃないですかっ。もうっ!」
更に俯くイルカを引き止め、キスをした。
「好き。イルカさん大好き。」
「っふ。オレ、も・・・好き。」
ちゅっと音を立てながら、何度もキスを繰り返す。
体は熱を持ち始めたけれど、触れる服が冷たい。
「こんなに冷たくなって・・・。オレまだ風呂入ってないんですよ。一緒に入りましょうか。」
「うん。隅から隅までオレがキレーにしてあげる。」
そう言って微笑むカカシに、イルカも笑い返した。
おわり
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よっし!ラブラブなまま終われた〜!
実はリーマンカカイル、書きかけで放置してる中にあったりします・・・f^_^;
あぁ〜リーマン続き作りたくなってきた・・・!!!
パラレル好きだvvv
最後までご覧頂き、ありがとうございました!
'06/7/1 葉月